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ローソン、「アバターワーカー」募集。どこからでも勤務可能

ローソンは、アバター事業を手がけるAVITAと協業し、時間や場所などにとらわれない新しい働き方「アバターワーカー」を公募する。

11月末に首都圏でオープン予定の未来型店舗「グリーンローソン」にAVITAのアバター接客サービス「AVACOM」を導入。アバターを活用した利用者の困り事へのサポートや新商品の説明、VTuberとのコラボレーションによるエンターテインメントの提供など、新しいコミュニケーションの実現を目指す。

アバターワーカーとして導入予定のアバター

これに合わせ、ローソン公式ホームページで、「グリーンローソン」のアバターワーカーの公募を開始。10~30名の採用を予定し、合格者は指定の研修を受講した後、11月末から「グリーンローソン」で勤務を開始する。

アバターワーカーは、日本や海外など遠隔地からでもローソンで働くことができるようにする制度。アバターを使うことで年齢や性別、障がいを持っていても仕事ができる環境を提供する。グリーンローソンでは、セルフレジの横にアバターを表示するモニターを設置し、セルフレジの使い方や商品の案内などを行なう。

会場でもアバターワーカーが司会として参加
グリーンローソンではセルフレジの横にアバター用モニターを設置予定
このアバターワーカーは沖縄から会場に参加した

また、これまでのように、1人1店舗ではなく、アバターを利用することで複数の店舗を1人で担当することが可能なことも特徴。店舗でリアル従業員が陳列などの作業を行なっている時に、客が何か話しかけると、これまでは作業を中断する必要があったが、そうした場合はアバターワーカーが話を聞くことで従業員は作業を継続できる。複数店舗をアバターワーカーが同時に担当することで、より効率的な対応を可能とし、これにより従業員の負担も軽減できる。

今後は、グリーンローソンでの検証を行なった上で、2023年度中に東京・大阪のローソン10店舗で勤務する、ローソンが認定するアバターワーカー「ローソンアバターオペレーター」50名を育成。2025年度中に全国各地のローソン店舗で活躍する「ローソンアバターオペレーター」1,000名の育成を目指す。

マチの生活プラットフォームに

AVITA代表取締役CEOの石黒 浩氏は、「実世界のメリットは経済活動が生まれていること。デメリットは失敗すると自分が直接責任を負うこと。メタバースやSNSなどの世界ではいろいろな自分の“身体”がある。失敗しても別の場所で活動できる。しかし、閉じた世界では経済活動は難しい。アバターを使うことで実世界でもいろいろな世界で活躍ができるようになる」とアバターを利用する意義を説明。

AVITA代表取締役CEO 石黒 浩氏

「プライバシーを相手に伝えたうえでの相談事をする場合などは、人間が直接話を聞くよりも、ロボットやアバター経由で話を聞いて貰うほうが話しやすいという研究結果もある。今回のアバターはなるべく多くの人が好感をもってくれるような中性的なデザインとすることで、利用者が親しみやすいように設計している」という。

AVACOMではリアル系のアバターも利用できる

石黒 浩氏は、大阪大学の教授でもあり、自身のアンドロイド「ジェミノイド」を開発するなど、ロボットを使ったアバターの研究開発を行なっている。AVITAは石黒氏がアバターサービス事業を行なうために2021年6月に設立したもの。今回はCGを使ったアバターを導入し運用することで、そこで得られた知見を活かしながら、いずれはロボットを使ったアバターに置き換えていきたいという。

ローソン代表取締役社長の竹増貞信氏は、「ローソンを『マチの生活プラットフォーム』にしたい」とし、ローソンへいけば生活に必要なものはだいたい解決できる、そうした機能・サービスを街ごとに実装していきたいという。

ローソン代表取締役社長 竹増貞信氏

プラットフォーム化することで、さまざまな専門家がアバターとして働き、どこからでも仕事ができる環境を実現し、地方での困りごともローソンを窓口として解決できるようにする。たとえばローソンでは、生活サポートサービスとして、ケアマネージャーが常駐する「ケアローソン」も展開しているが、各店舗毎に1人のケアマネージャーを配置しても、相談が多いときもあればまったくない時もあった。アバターにより複数店舗に対してケアマネージャーが対応できるようにすれば、より人材を有効に活用できるとしている。将来的にはさまざまな資格をもったプロフェッショナルがアバターワーカーとして働き、そのスキルを活かせる場を提供する。

また、無人店舗の展開については、「今のところ完全無人化は考えて居ない」とし、レジ無し店舗でも、アバターワーカーが居て話しかけることができる店舗を目指しているという。