ニュース

YouTube、ショート動画の収益化へ。「クリエイターミュージック」も

YouTubeは21日、ショート動画への広告収益の還元など、クリエイターの新たな収益化方法を発表した。ショート動画での収益化の新たな方法の導入や、音楽を使用する動画の広告収益還元、音楽業界とクリエイターとの関係を再構築する改革案などを、米国で開催された「Made on YouTube」で公開した。

大きな動きは、15秒間の縦型動画「YouTubeショート」での収益化を開始すること。YouTube ショートは1日の視聴回数300億回以上、月間ログインユーザー数15億人以上と人気を集めており、2023年初頭からショート動画メインのクリエイターも、YouTubeでの収益化システム「YouTubeパートナープログラム(YPP)に参加可能になる。主な新施策は以下の通り。

YPP への参加拡大

2023年初頭から、ショート動画に特化したクリエイターも収益化の対象となる。チャンネル登録者1,000人以上、直近90日間のショート動画視聴回数1,000万回以上などの条件を満たせば、YPPに申請できるようになり、動画投稿への広告収益など、YPPのすべての特典を受けられるようになる。

従来の基準である、チャンネル登録者1,000人以上、総再生時間4,000時間に加わる新しいオプション。クリエイターは自身のチャンネルに最適なオプションを選択可能となる。

また、Super Thanks、Super Chat、Super Sticker、チャンネルメンバーシップを含む、視聴者ファンディング機能への早期アクセスなど、新たな利用資格もYPPに導入する。

ショート動画で初の収益化モデルを導入

YouTubeショートのクリエイター向けに、2023年初頭から独自の収益分配モデルを強化する。

現在の固定額のファンドから移行し、ショート動画のフィードでは、動画と動画との間に広告が表示される新しい仕組みを導入。これらの広告からの収益は毎月合算され、YouTubeショート クリエイターへの報酬と音楽ライセンス費用に使用される。

クリエイターに割り当てられる全体の広告収益の45%をYouTube ショート クリエイターが受け取り、ショート動画の合計視聴回数の割合に応じて分配される。音楽利用の有無は収益分配の益分配の割合に影響しない。

「クリエイター ミュージック」開始

現在、音楽を使用するほとんどの長尺動画で、クリエイターが収益を得ることができないが、この問題を改善する施策が「クリエイターミュージック」。クリエイターに対しては、長尺動画に使用できる楽曲を集めた音楽カタログへのアクセスを容易にする一方、アーティストや音楽権利所有者に対しては、YouTubeでの楽曲の新しい収益源を提供する。

クリエイターは手頃な価格で音楽ライセンスを購入でき、音楽を使用しない動画と同じ収益分配を得られる。事前に音楽ライセンスの購入を望まないクリエイターは、使用した楽曲のアーティストや関連する権利所有者と収益を分け合うことも可能となる。「クリエイター ミュージック」は、ベータ版が米国で提供中で、2023 年に対象地域を拡大する予定。

YouTubeが過去3年間にクリエイターやアーティスト、メディア企業に支払った金額は、500億ドル(2022年6月時点)を超え、YouTubeで収益を得ているクリエイターは200万人以上。