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Stripeに銀行振込機能。巨大なB2Bニーズに対応
2022年4月18日 09:50
ネット決済インフラを展開するStripeは14日、「銀行振込」機能を提供開始した。日本市場でのニーズが高い銀行振込に対応し、B2Bビジネス対応を強化していく。初期費用・月額費用は無料で、決済手数料は1.5%。
Stripeは、オンライン決済の「Payments」や「Checkout」、サブスクリプション管理の「Billing」など、決済関連の様々なサービスを展開しており、先日は、日本市場向けに「コンビニ決済」に対応した。コンビニ決済は、B2C(一般消費者向け)の対応強化策だったが、B2B(企業向け)送金対応の強化として新たに銀行振込に対応する。
日本のB2Cの市場は約20兆円だが、B2Bの市場は335兆円と圧倒的に規模が大きく、その約96%の取り扱いが銀行振込といわれている。この大きな市場に対応し、B2B取引でのStripe利用を促進していく狙い。
銀行振込は、B2Bの市場では最もメジャーな決済手段。銀行振込は受ける側は手数料がかからないが、「実は“高い”決済手段になっている」(ストライプジャパン ダニエル・ヘフェルナン共同代表)という。その理由は、請求書の発行や、未払い請求書に対して、入金があったかどうか確認する「消込作業」に手間がかかるほか、振込金額に過不足があった場合の対応や返金作業が大変なこと。こうした「隠れコスト」が問題という。
Stripeの銀行振込機能では、入金消込作業を自動化。購入者ごとに割り当てられたバーチャル銀行口座(仮想口座)番号を活用し、振込人を特定し、自動的に入金明細と未払い請求書を照合する。これにより手作業による入金消込作業にかかっていた時間や労力を大幅に軽減できるという。バーチャル口座は、三井住友銀行との協力で実現しており、日本で信頼の高い銀行との連携により、企業利用を増やしていく。
同社では、銀行振込に伴う消込作業の煩雑さを体験できるシミュレーションゲーム「消し込みシミュレーター」も開発。こうした手間を自動化できる点をアピールしていく。
顧客残高機能では、振込金額の過不足金を翌月支払いに自動繰越でき、手作業によるエラーを減らせる。また、振込状況はダッシュボードやAPI経由で確認・管理可能で、購入者ごとの支払いステータスを管理し、効率的に運用できるという。
請求書管理サービスなど一定のプロセスごとにデジタル化は進みつつあり、個別の領域では競合も存在するが、Stripeの特徴は、決済から課金、請求書発行、収益管理ツールまで単一のプラットフォームで提供できる点。サブスクリプション管理を担うStripe Billing、売上金回収を担うInvoicing、税務処理のStripe Taxなどのサービスと連動する。銀行振込は、小規模な店舗やオンラインストアでも導入できるが、こうしたサービスを使ったB2B取引で、より便利に利用できるとする。
導入企業においては、請求書の郵送などの手間も省けるため、手数料1.5%でもコスト減につながるという。ただし、「1件の売上が大きく、件数が少ない」といった場合は、従来の銀行振込のほうがコスト安になる可能性はある。
銀行振込の対応により、Stripeの関連サービス利用拡大も狙う。銀行振込対応による加入増の具体的な目標はないが、「B2B市場での飛躍的成長が目標。そのための重要な機能が銀行振込」(ストライプジャパン 共同代表の荒濤大介氏)とした。