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新「東京ドーム」を見てきた 超レアなスイートエリアや完全キャッシュレス
2022年3月1日 16:52
過去最大規模のリニューアルをした東京ドームが、3月2日のオープン戦より本格稼働する。オープンに先立ち、プレス向けの内覧会が開催された。
今回のリニューアルでは、国内最大級のメインビジョンを新設したほか、通常席よりも幅が広く寛ぎながら観戦できる観客席を新設し、多様な観戦スタイルに対応。完全キャッシュレス化や、顔認証決済・入場などのDXも行なった。
新設された観客席は年間契約のシーズンシートが多く、フルリニューアルされたスイートエリア「THE SUITE TOKYO(ザ スイート トウキョウ)」に至っては法人向けで現在新規申し込みは受け付けていない。いずれもなかなか入れないエリアなので、どんな空間なのかレポートしていく。
年間780万円の席でゆったり観戦
新設された観客席で特に印象的だったのは、1階3塁側にあるL字のソファを配置した4人定員の「THE 3rd PLATINUM BOX(ザ サード プラチナ ボックス)」。座席にはテーブル、試合の中継映像用モニター、スマートフォンなどを充電できる電源を備えている。飲食を楽しみながらゆったりと観戦できるエリアだ。
このソファ席、座ってみるとその居心地の良さをかなり実感できる。フカフカしていて席の幅は広く、中継用モニターもあるので、ちょっとした家気分を味わえるのだ。だが眼前にはグラウンドがあり、球場ならではの臨場感も楽しめる。
プラチナボックスは計18区画あり、いずれも年間契約料は780万円。だが、オープン戦やクライマックスシリーズ、日本シリーズでは一般販売もされる。3月2日から始まるオープン戦での料金は36,000円で、定員の4人で割れば9,000円なので十分手が届く。
2階コンコース「MASU SUITE(マス スイート)」の並びには、半個室のグループ席「MASU CABANA(マス カバナ)」を新設。前方にソファセット、後方にカウンター席を配置したレイアウトで、リゾートをコンセプトにした内装やインテリアをしつらえている。
ここも中継用モニターと充電用電源を備え、ビーチサイドにあるプライベートスペース「カバナ」のように、リゾートさながらのリラックスした気分で観戦できるという。
座席は4人席が8区画、6人席が6区画、8人席が2区画。年間契約料は4人席が780万円、6人席が1,170万円、8人席が1,560万円。オープン戦では順に、36,000円、54,000円、72,000円で販売している。
なお、THE 3rd PLATINUM BOXとMASU SUITE、MASU CABANAは、年間契約の場合は特典としてオードブルボックスも提供される。9種のオードブル盛り合わせ、3連戦では日ごとに異なる3パターンのセットを用意。
オードブルはジャイアンツ仕様にデザインされた容器やドリンクコースターとともに、座席まで届けられる。
超レアなスイートエリアも公開
法人向けのスイートエリア「スイート倶楽部」は、「THE SUITE TOKYO」にフルリニューアル。グラウンドを一望できるバックネット裏3階エリアに全28室あるが、現在新規での申し込みを受付けていない、かなりレアなエリアだ。
専用ゲートとフロアを有し、個室で食事を楽しみながらゆっくり観戦できる。エントランスには野球や巨人軍にまつわる貴重な品が展示されている。
スイートエリアはゲートからもう雰囲気が異なり、かなり厳か。個室の椅子とは別に観戦用の席も用意されており、空間にかなり余裕がある。筆者はこれまで野球観戦やコンサートで幾度となく東京ドームに足を運んできたが、このスイートエリアに入るのは初めてで、私の知っている東京ドームとは何もかもが違う、と思ったのが正直なところだ。
バルコニー席ビュッフェに「ふかひれ入り汁そば」登場
3階エリアに位置するバルコニー席「プレミアムラウンジ」は、2008年の誕生以来初めての大幅リニューアル。エントランス正面にインフォメーションカウンターや100インチの大型サイネージを配置した。
リニューアルに合わせて、ビュッフェメニューを刷新。新たに設けたライブキッチンで、後楽園飯店料理長監修の「ふかひれ入り汁そば」を提供する。ボールパークをイメージしたメニューも追加し、ホットドッグやナチョスも楽しめるようになった。ビュッフェは価格改定し、従来の2,700円から3,700円に値上げされる。
ラウンジエリアも全面リフォームし、上質な雰囲気を提供。ラウンジ専用のバーを新設し、ビュッフェコーナーとあわせてより一層楽しめるという。
バルコニー側に並んだ座席と試合中継用モニターもすべて新調。座席は茶系の柔らかい合成皮革に変わり、肘掛けにカップホルダーを備え、座面のクッションも厚みを増して高級感に加えて機能性も向上した。
プレミアムラウンジは年間契約のシーズンシートで、年間契約料は91万~156万円。オープン戦での価格は1試合3,000円~5,000円。
このほかバックネット裏の「ダイヤモンドボックス」は、現在の160席から290席に増設。前後左右の座席幅はそのままに、既存のエリアから1・3塁側に2ブロックずつ拡張した。
2022年シーズンからは専属のアテンダントを配置し、ウェルカムドリンクとしてスパークリングワインが提供される。アテンダントはANAビジネスソリューションの協力の下、客室乗務員の経験者も一部配置する予定。
ここも年間契約のシーズンシートで、年間契約料は234万円。オープン戦での価格は1試合10,000円。
完全キャッシュレスは顔認証決済が便利
今回のリニューアルにより、場内は完全キャッシュレス化を実施。飲食やグッズ売店のほか、客席販売、場内チケットカウンター、自動販売機、コインロッカーすべてキャッシュレス化される。決済方法は、クレジットカードやSuicaなど交通系IC、コード決済など。
クレジットカードはタッチ決済(NFC)にも対応。電子マネーは交通系ICのほか、nanaco、iD、QUICPay、Edy、WAONに対応。コード決済はPayPay、d払い、楽天ペイ、LINE Pay、Alipay、WeChat Payなど。
このキャッシュレス化で印象的だったのは、一部店舗で顔認証決済を導入したこと。入場前に、顔画像登録サイトで自分の顔を登録しておくことで、店舗で商品を購入する際に顔認証で決済が完了する。顔が照合された後、暗証番号を入力する必要があるが、端末には非接触で暗証番号を入力できるため、感染対策も強化したという。
球場観戦時、チケットや財布、スマホを持ってフードを買いに行くと手がふさがりがちなので、顔認証で決済できるのは相性が良さそうだ。なお顔登録はマスクなしで行なうが、店頭での顔認証はマスクありでも認証される。
キャッシュレス化やデジタルサービスに関して問い合わせが来ることを想定し、場内4箇所にDXサポートデスクを設置(21・22・25・40ゲート)。
このサポートデスクでは電子マネーを販売するほか、3月2日のオープン戦からは小学生向けにジャイアンツオリジナルの「キッズnanaco(非売品)」をプレゼント。「小学生に初めてのキャッシュレス体験をしてもらえたら」という思いのもと、セブン・カードサービスの協力で実現した。
メインビジョンは国内最大級。セコムの広告がデジタルに
また、国内最大級のメインビジョンも新設。横125.6m、面積約1,050m2のフルカラーLEDメインビジョンで、従来(約238m2)と比較して面積は約4.4倍に拡大する。
メインビジョンに加え、東京ドームとして初めて、ライト側とレフト側の外野フェンスそれぞれにフルカラーLEDの映像送出装置(リボンビジョン)を設置。両翼ポール傍から右中間・左中間に向かって外野フェンス上端に帯状に取り付けられ、横幅は2面合計で約107m。約4mの外野フェンス高に対して上部約3分の1にあたる1.28mがリボンビジョンとなる。
リボンビジョンには広告も表示可能。東京ドーム名物とも言える、長嶋茂雄終身名誉監督のセコムの広告もデジタル表示に切り替わっていた。
場内のLED照明器具約650台を、DMX(DMX512)連動によって制御するシステムも導入。DMXは照明器具の調光などの制御を行なうための通信規格で、これに連動したシステムを構築することで、メインビジョンの映像や音響と連動させた照明パターンの再生ができ、躍動感ある球場内演出が実現可能になる。
この場内演出はオープン戦から試験的に行ない、シーズン開幕戦から本格稼働する。新しくなった東京ドームをいち早く体感できるオープン戦の開催期間は3月2日~21日。シーズンが始まると座れない席もあるので、興味がある人はオープン戦に足を運んでみてはいかがだろうか。