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花王、皮膚を切らずに肌の内部を3Dで見られる「CT-Skin」

花王は、肌を切り取ることなく、肌内部を可視化したり、どのように変化したかを見ることができる技術「CT-Skin(Coherence Tomography-Skin)」を開発した。

肌は多重の層構造を形成しており、その中にコラーゲン、血管、リンパなどが複雑に存在している。これらの内部構造を観察するには肌を切り取るしかなく、また一度切り取ってしまうと同じところは経時的に見ることができないという課題があるという。

花王はこの課題を解決するため、肌を傷つけずに内部を可視化する技術の開発を推進。2021年1月に、JM-OCT(Jones matrix optical coherence tomography)を用いて、7秒で128枚の皮膚断層画像を取得し、肌内部を二次元画像で可視化することに成功している。

今回開発したCT-Skinは、光を当てるだけで肌の内部が3Dで見える技術。JM-OCTに、独自のアルゴリズムと3D化技術を応用しており、肌を切り取ることなく、今までよりもさらにリアルに肌内部を可視化したり、どのように変化したかを見ることができる。

花王の動画チャンネル CT-Skin 動画より

CT-Skinでは、従来は個別にしか表示できなかった肌表面の凹凸、血管、リンパ、コラーゲンを同時に1つの3D空間に再現。肌の裏側まで360度どの方向からの画像も自在に得ることができる。

肌の裏側の様子

また、肌の同じ場所の変化を連続して撮影することで、動きのある様子を観察することも可能。例えば、表皮に栄養を届ける毛細血管の血流が、表皮直下でじわじわ高まるダイナミックな変化も見ることができる。

血流のダイナミックな変化の様子

今後はCT-Skinを用いて、個々の肌により合ったスキンケア提案や将来の肌状態予測などを行なっていく予定。さらに、皮膚科学研究や素材評価へも応用し、医薬部外品や化粧品開発に活かす。