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「行かない・書かない窓口」 NECがハイブリッドクラウドで目指す行政DX
2022年1月19日 13:57
NECは、同社が目指す行政のデジタル化に向けた取り組みについて発表した。行政のデジタル化を支援するため、ハイブリッドクラウドをはじめとするクラウド環境への移行に関するソリューションメニューを「官公庁向けDXソリューション」として提供する。
官公庁向けDXソリューションは、4つのソリューション群とそれらと連携するセキュリティソリューションで構成。各省庁の目的やセキュリティ要件等に合わせて、安全かつ柔軟に短期間で移行・運用することを支援する。
第一弾として、既存システムをクラウド環境へ移行するための「クラウドインテグレーションソリューション」、ネットワークやプラットフォームを提供する「プラットフォームソリューション」、クラウド移行を支援する「セキュリティソリューション」を提供する。
今後、アジャイル開発やシステム開発の内製化を支援する「アプリケーション開発ソリューション」や、職員の新しいワークスタイルの実現に向けた「業務改革・ビジネス変革ソリューション」のメニューも順次追加していく。
行政デジタル化を支援
具体的な取り組みについては、同社執行役員常務の中俣力氏が「NECが目指す行政デジタル化に向けた取り組み」として説明を行なった。
行政デジタル化に向けた注力領域としては、「業務標準化」「デジタル基盤クラウドシフト」「職員の業務効率化」「国民の利便性向上」「マイナンバーカード民間活用」の5つを掲げた。
業務標準化では、これまで自治体毎に開発していたアプリケーションなどを標準化するため、各省庁が策定する自治体向け基幹系システム(17事務)の標準仕様書に基づき、各パッケージベンダーがパッケージを改修。デジタル庁がクラウド事業者と契約し、業務パッケージを「ガバメントクラウド」として自治体に提供する。
NECは、この業務標準化に対応した自治体向けクラウドサービスを提供。50年にわたって自治体業務を支えてきたシステムを基に「自治体システムの標準化・共通化」と「自治体DX推進」を両輪で実現するクラウドサービスの提供を目指す。これにより自治体職員の業務負担を軽減し、自治体のDX推進に貢献する。また、標準化ではカバーできない自治体ごとに異なるビジネスプロセスのギャップにも個別に対応する。
デジタル基盤クラウドシフトとしては、官庁システムのデジタルシフト、その先の行政DXに向けたレガシー刷新、モダナイゼーションの刷新が必要とし、パブリッククラウドと閉域ネットワークのデータセンターを接続する「ハイブリッドクラウド基盤」を提供。SCSKと共同でデータセンターを開設し、ハイブリッドクラウドを実現する「Digital Integration Hub」を2023年度に提供する。これにより機密性の高いデータは閉域ネットワークで扱うことが可能になり、データ信頼性、メンテナンス性を向上する。
職員の業務効率化としては、市場環境の変化、ニーズの多様化などに迅速に適応可能なシステムを開発。ウォーターフォール+スクラッチ開発とアジャイル開発・オファリング活用を組み合わせ柔軟なシステム実装が必要とし、2018年にNECが子会社化したデンマークのIT企業KMDの知見を活かして実現する。
国民の利便性向上としては、「行政DXを支えるワンストップサービス」の実現を目指す。具体的には、書類をデジタル化する「書かない窓口」、Webでの申請を行なえるようにする「行かない窓口」、窓口から基幹系システムに連携し、審査、登録を一貫して行なう「ノンストップ窓口」の3つの柱を軸に開発を行なう。
港区では8月からこうしたシステムを導入予定で、住民異動届や住民票等請求書など事務手続書類約40種類をデジタル化。従来のように窓口で書類を書くことなく、事前にスマホから必要事項を入力して二次元コード化し、窓口で二次元コードを読み込ませるだけで届出を受け付ける。
マイナンバーカード民間活用では、「NECマイナンバーカード認証サービス」により、民間企業がマイナンバーカードを利用した本人確認を実現できるクラウドサービスを提供する。これにより事業者は、システム環境の整備や主務大臣認定の取得を行なう必要なく、マイナンバーカードの活用が可能になる。認証に必要なセキュリティレベルに応じてe-KYCや生体認証との組み合わせもできる。マイナポータルAPIとの連携も可能で、行政が保有する所得情報等を参照し、所得証明書等の書面提出を不要にするなどのサービスも可能にする。