領収書画像データの不正も自動検知。コンカー、IBMら協業

出張・経費管理クラウドサービス「SAP Concur」を提供するコンカーは、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)、デロイト トーマツ リスクサービス(デロイト トーマツ)との、経費精算領域の不正検知における戦略的協業を発表。精度向上と承認業務の効率化を推進し、コンカー導入企業の半数以上が「承認レス」化することを目指す。

協業について発表会見が実施され、その中で経費精算のペーパーレス化が進むことによる新たな不正リスクについて説明した。

例えば領収書の提出が画像データで可能になると、同じ領収書を使用して2回申請するケースがあるという。同一人物による申請であれば目視で発見できるとしても、部署をまたぐなどして2人が同じ領収書を使用した場合、管理職のチェック時には気づくことができず、経理部門の目視チェックでも見落としやすくなる。

こういった不正に対応するものとして日本IBMは、コンカーワークフロー内での自動チェックおよび事後の分析による不正検知ソリューションを提供。領収書に特化したAI-OCRを活用した領収書突合、領収書使いまわしチェック、整合性確認に加え、分析による不正検知サービスで構成されている。

AI-OCRはパートナー企業が提供しているもので、様々な領収書形式に対応し、高精度な読取が可能とする。OCR結果のデータベースには全従業員分の、1年以上分のデータが蓄積されており、同じ画像による申請はもとより、再撮影を行なった別の画像であっても文字列から同一の内容であることを検知できる。

デロイト トーマツは、「リスク アナリティクス オン クラウド」を提供。クラウドベースのSaaS型リスク分析サービスで、企業内の連結財務データ、販売や購買などの各種取引データを読み込み、グローバルかつ豊富な事例と経験に基づく様々なリスクシナリオと照らし合わせ、リスクのスコアリングを行なう。

人為的な不正についてコンカーはこのほか、手書きの領収書の書き換えなどの事例があることを紹介。これを防止するためにコンカーでは、法人カードやPayPay、Suica、タクシーアプリとのデータ連携や、Sansanとの名刺連携を促進している。

またコンカーでも、重複経費の通知や異常値のハイライト表示といった不正や過失を防ぐための機能を提供している。日本IBMとデロイト トーマツのソリューションは、こういった機能に加えてさらなる精度向上、ガバナンス強化につなげるためのものという位置づけ。

コンカーが提供する重複経費の通知

これらのソリューションを導入することで、悪意のある社員に不正を諦めさせるほか、入力ミス等の過失も防ぎ、また確認・承認業務の効率化につながるとする。

今後は、3社共催のセミナーなどを通じてコンカーの顧客に両社のソリューションを提案するほか、両社のソリューションを活用して経費精算領域の不正検知の精度向上と承認業務の効率化を目指す。なお両社のソリューション導入にあたっては、コンカーとの契約のほか、各社との契約が必要となる。