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Dropbox、「バーチャルファースト」で日本をデジタル化
2021年12月6日 09:00
Dropbox Japanは3日、2022年事業戦略記者説明会を開催した。説明会では、Dropbox Japan代表取締役社長の梅田成二氏が今年サービスを開始した新機能や、コロナ禍における同社の働き方の変化などについて説明を行なった。
Dropboxは現在、全世界で1,649万の有料ユーザー(個人・法人合算)がいるという。Dropbox上に保存されているコンテンツ数は5,500億、仕事で使ってるというユーザーは8割にのぼる。Dropboxはサービス開始以来、フリーミアムモデルを採用しており、まず始めに無料版を導入してもらい、使用頻度があがり、容量が必要なってくると有料版に移行するビジネスモデルになっている。口コミから草の根で広がってきたが、コロナ禍ではテレワークの普及などにより売上は約13%成長した。
特に法人ビジネスでは日本が全世界の成長を牽引しているとし、高い成長率を示しているという。これは、日本がまだデジタル化の途上であるからで、今後も高い成長率が見込まれるとしている。
顧客の業種は、建設、ITサービス、メディアの順に多い。特に建設分野では、建設会社の「奥村組」がAPIにより自社システムとDropboxを連携。工事が始まると自動でフォルダが作られ、工事が終わるとアーカイブされるような仕組みをつくり、情報共有の効率化を図っている。
2022年の事業戦略としては、「電子帳簿保存法」への対応を進めるほか、これまでのデータを保管するという機能から、「利用」へシフトさせていく。同社はすでに録画したスクリーンデータなどで仕事のアイデアなどを共有できる「Dropbox Capture」や動画へのフィードバックや修正提案をオンライン上で完結する「Dropbox Replay」を導入し、データを複数人で共有して活用する仕組みを提供しており、電子署名サービス「HELLO SIGN」との連携も実現している。今後もドキュメントワークフローを効率化する製品群を強化していく。
他社ソリューションとの連携も強化。すでにMicrosoft 365やGoogle Workspaceなどとの連携は実現しているが、今後も他社サービスを横断的に接続する「共通ストレージ基盤」として活用を促進していく方針。
コロナ禍で変わった働き方
Dropbox Japan社内でもコロナ禍によるテレワークの促進で、さまざまな課題や葛藤があったという。同社の社風は「助け合い」を基本としていたが、オフィスに出社する人と、テレワークをする人とで分断が発生し、疎外感を覚える人が出てきたという。反面、社員のアンケートでは、9割の社員が「週5日の出社前提に戻す必要はない」とも回答していた。
そこで、同社の働き方は基本的に「バーチャル・ファースト」にする方針とし、そのための3要素を設定した。
1つめは、「コラボレーションコアタイム」の設定で、1日のうち、4時間をライブミーティングのために確保する時間とし、フレックスタイム制のコアタイムのように、全員に連絡が取れる時間帯として設定した。残りの時間は社員が自由に使う。非同期と同期のリズムを作ることが大切だという。
また、既存のオフィスを、リアルでのミーティングスペースとして活用できるように整備した「Dropbox Studio」を設置。ドリンクやスナックなども常備し、社員同士のコラボレーションや、来客対応、チームビルディングなどに利用する。
さらに、リモートワークに関する様々な原則をまとめたオープンソースのガイド「バーチャルファーストツールキット」も公開している。内容は今後も更新していく予定。
同社では、こうした働き方の改革によって、人材採用の幅が広がったという。例えば、実家で介護しながら働きたい、子育てをしながら働きたい、などのニーズにも、自宅から仕事ができる環境を用意することで対応できるようになった。実際に、新しく入社した人にも、そうした労働環境に惹かれて入社した人がいるとし、実際に、金沢や奈良、八ヶ岳などからリモートで仕事をしている人がいるという。
ただ、これは同社が「ITサービスを展開する企業だから可能だった」(梅田氏)ともしており、業種やビジネスモデルによって最適な方法は違う。そこで、そうした企業が新しい働き方を実現する支援を行なう「バーチャルファース・アンバサダー・プログラム 2022」を展開、12月6日~2022年1月31日まで募集を行なう。対象は日本に法人登記がある企業(従業員300名以下)で、「バーチャル・ファースト」の趣旨に賛同し、新しい働き方を実践する企業。選定された企業は、「Dropbox Business」ライセンスが優待価格で利用できるなどの特典がある。
梅田氏は最後に「現場力が上がる。使えるデジタル」をスローガンとし、生産性の上がるツール、他社ソリューションとの連携、そしてアンバサダープログラムによって、日本市場に適した新しい働き方を模索していくと述べた。