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週末は「ほぼ皆既」の部分月食 全国で観られるのは89年振り
2021年11月16日 16:00
国立天文台によると、11月19日の16時頃から、地球の影に月が入り込む「部分月食」が起こるという。部分月食ではあるものの、月の直径の97.8%までが影に入り込む「ほぼ皆既月食」となり、完全に月が影に隠れる「皆既月食」に近い現象が視られる可能性がある。食の最大時は全国で観測が可能。
部分月食の始まりは16時18分頃。ただし北海道や東北地方北部以外では、月食の始まりは月が地平線の下にあるため観測できず、月が欠けた状態で昇ってくる「月出帯食(げつしゅつたいしょく)」になる。今回の月食は特に前半は月の高度が低いため、東の空が開けた場所での観測が推奨されている。東京での月の出の時間は16時28分頃。
月が最も欠けて見える、食の最大は18時3分頃。皆既月食では、月が完全に影の中に入ると、月が赤黒い色になって見えることが多いが、部分月食では通常そうした現象はみられない。しかし、今回の部分月食では、月の大部分が影に入るため、食が最大になる時間には、影の部分が色づいて見える可能性がある。月はその後、空を昇りながら地球の影から出て行き、19時47分頃に部分月食が終わる。
月が地球の影の中に入り込む程度(影で覆われる月の直径の度合い)は「食分」という数値で表し、1.0以上で皆既月食となる。今回の最大食分は0.978で、月の直径の97.8%が影に入り込むことを意味し、部分月食としてはかなり大きな値となる。食分の値が大きい場合、専門的には「深い」と表現し、今回のような月食は「たいへん深い部分月食」と表わされるという。
なお、最大食分が0.978以上の部分月食が日本全国で観測可能なのは、1932年9月15日以来約89年振りとなる。次回は65年後の2086年11月21日。
国立天文台では、11月19日16時からYouTubeで部分月食のライブ配信も予定している。
観測は肉眼でも可能だが、双眼鏡や望遠鏡などを使えば、月面のクレーターの上を地球の影が横切る姿なども観測でき、より楽しむことができる。