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オカムラ、座ると変形してフィットする新型チェア。コロナ後オフィス新提案
2021年11月9日 08:00
オカムラは、コロナ後の新たなオフィスの在り方に対応する製品群を発表した。ヒット商品のオフィスチェア「シルフィー」を発展させたモデル「Spher」(スフィア)のほか、レイアウトの自由度が高い長机とチェアからなるオフィス家具「WORK CARRIER」(ワークキャリアー)、分割して自由に組み立てられるパネルシステム「RECONE」(リコネ)を発表。家庭向けの「Parabel」(パラベル)、ワークブースの新製品なども投入する。
オカムラはこれら新製品群で新しいオフィスの形態を提案する「オカムラグランドフェア 2022」を11月10日から開催し、オンラインや同社ショールームにて展示・紹介する。ショールームのイベントへの参加は事前の予約が必要。
いずれも、必要に応じて在宅ワークとオフィスワークが混在するという環境を見据え、最適な製品を提案するものになっている。
座るだけで変形してフィット、新オフィスチェア「スフィア」
新しいオフィスチェアのスフィアは、オフィスに固定席が少なくなり、チェアも常に決まった人が使用するわけではないという考えに基づき開発された。具体的には、必要最小限の調整で身体にフィットする、オカムラ独自の「3Dフィジカルフィットシェル」を搭載するのが特徴。
オカムラのオフィスチェアの人気モデル・シルフィーでは、手動のレバーで調整して背もたれの幅のフィット感を調整できたが、スフィアはこの機能を発展させて、レバーの操作なしに自然に変形してフィットする構造とした。背もたれだけでなく座面も変形する構造で、さまざまな体格にしっかりとフィットするという。
また、デザインアームには、タブレット端末やスマートフォンで仕事をする場合に自然と快適な姿勢になるという、肘や腕を柔らかく支えるスムースフィッティングアームも設定されている。
張材はオカムラが開発したリサイクル素材「リネット」を採用。これは日本国内の使用済みの漁網をリサイクルした再生ナイロンの糸と再生PETの糸を編み込んだニット素材となっている。
スフィアの価格は90,310円~。
人が集う場所のための家具シリーズ、ワークキャリアー
ワークキャリアーは、高さの違う大型のアンカーテーブルやサテライトユニットを組み合わせて、自由なレイアウトが可能な、オフィスの新たな在り方に向けた家具シリーズ。目的に応じて働く場所を選択するという働き方を前提に、オフィスには簡単なミーティングや相談、雑談が生まれる場所としての役割が求められているとし、このデスクは人が集まりやすく、周囲とも馴染みやすいデザインにした。
具体的には、大胆なレイアウトが可能で、周りの空間と境界をなくしやすくしたほか、高低差のあるレイアウトでは視線をずらし集中しやすくした。角を丸めることで周囲との調和も図っている。
また、すでに発表しているオフィス向けポータブルバッテリー「OC」も、ワークキャリアーシリーズに最適な組み合わせとして提案する。従来のオフィスでは、デスクに電源を確保するためデスククの形状が制限されたり、床に工事が必要でレイアウト変更が容易に行なえないなどの課題があったが、デスクの電源をポータブルバッテリーに統一すると、デスクそのもののレイアウト変更の自由度が飛躍的に高まることになる。ワークキャリアーは、ポータブルバッテリーによる電源確保を前提にした形状になっているのも特徴。
36cm角のパネルを組み立てるリコネ
オフィス向けのパネルシステムの新製品として、モジュラーパネルシステム「RECONE」(リコネ)が登場する。最小単位は360mm角で、枚数や組み合わせを自由に変更でき、卓上型からフロアスタンド型まで幅広く対応できる。従来のパネルはデスクとセットになっていることが多かったが、リコネは汎用型で、オフィス家具の入れ替えで一緒に廃棄される機会を減らす目的もあるという。素材も環境配慮型で、海外の海洋プラスチックごみから作られた素材を使用する。
人気のワークブースも新型を投入
一人用や少人数用など、オフィスの中に閉鎖された空間を作り出すワークブースは、コロナ禍以前から発売されていた製品だが、昨今の働き方やオフィスの変化を受け、オフィス家具では人気になっている分野。オフィスの中だけでなく駅構内や市役所、学校といった場所にも導入されているという。新製品では、従来より小型のものや、床面をバリアフリーとした製品、半円形の引き戸で設置スペースを削減した製品などを順次投入する予定。
景色が変わったオフィス、新しい需要はこれから
オカムラ 代表取締役 社長執行役員の中村雅行氏は、オフィス市場の動向として、在宅勤務を常時運用にしたいという企業が8割に上るといった調査結果や、仕事の内容に合わせて場所を選んで働くというスタイルが拡大したことを指摘。「我々が見ても、オフィスの景色が以前と変わってしまった。この2年間で、そうした変化を容認する経営の姿勢も大きい。経営者の意識が大きく変わった。大企業から中小まで、オフィスの在り方を何らかの形で見直したいと考える会社は3分の2に上っている。これから、相当大きな需要がやってくる」と、これからオフィスの変革が本格化するとした。
中村氏は、そうした変化を踏まえた上で、これからのオフィスのキーワードとして「コミュニケーション&コラボレーション」「コンセントレーション&プライバシー」の2つを挙げる。これは、個人作業は自宅でも可能な一方で、オフィスでは簡単なミーティングや雑談などを含む、複数人が集まることで生まれる、より創造的な活動の場とするもの。その上で、ワークブースのような個別の空間を設けることで、さまざまなニーズや状況にも対応する。
ワークブースはコロナ禍の前から提供しているが、使用した人からは便利と好評とのことで、コロナ禍のニーズを経て需要が定着。最近では倍々のペースで拡大しているといい、「オフィスの大きな柱に育つ。収益源にしていきたい」と期待を語っている。