ニュース

近くの人の会話が聞こえるバーチャルオフィス「oVice」

バーチャルオフィスサービスを展開するoViceは、サービス開始1周年を記念した戦略発表会を開催した。

oViceは、現実空間と同じような感覚で使えることをコンセプトとしたコミュニケーションツール。テレワークで分断されがちな繋がりを、オンライン上にいながら実際のオフィスに近い感覚を実現することで解決する。

oViceでは、ユーザーはアイコン(アバター)で表示され、仮想的に作られたオフィス内でアイコンを移動させることで、他人とコミュニケーションを取ることができる。

アイコンの位置を中心として、近くに居る人の会話が聞こえるのが特徴。アイコンからの距離が近いほど声が大きく聞こえ、距離があるほど聞こえ方が小さくなる。これにより、他人同士の会話から、自分の興味がある内容が聞こえた場合、会話に参加するなど、現実のオフィスに近い感覚でコミュニケーションが取れるという。画面の共有やビデオ会議も可能。機密度の高い他人に聞かれたくない会話をするときは、鍵付きの「部屋」も作ることができる。

昨年9月からサービスインし、1年でバーチャルオフィススペースの発行数は10,000個となった。バーチャルオフィスを繋いで作る「バーチャルビル」の数は274棟で、最も高いバーチャルビルは51階になるという。oViceで勤務している人の人数は現在40,000人。利用料金は1スペース(推奨人数20人)あたり4,950円/月。イベントなどの単発利用では、1スペース(推奨人数30人)あたり2,750円/週。

oVice CEOで韓国出身のジョン・セーヒョン氏は、「自分は元々、オフィスに出社して仕事をするのが大好きな人間。しかし、韓国ではコロナ禍によってロックダウンが実施され、やむを得ずテレワークを行なうことになったが、テレワークでは社員のコミュニケーションが断絶しがちだと感じた。そこで昨年6月にoViceの開発を開始し、9月にサービスを開始した」と、同氏が切実なニーズを感じたことから開発されたツールであるという。

また、同氏は、SF作家・ニール・スティーヴンスンが1992年に発表した著作「スノウ・クラッシュ」の中で登場させたインターネット上の仮想世界を指す言葉「メタバース」を紹介。メタバースは、「メタ」と「ユニバース」からの合成語とされ、将来インターネット環境が到達するコンセプトモデルや仮想空間サービスの通称としても使用される。

セーヒョン氏は、メタバースを「DX」が最終的にたどり着く世界と定義。そのための「ビジネス・メタバース」に必要なこととして、「現実のようなインタラクション」「業務システムとの連動」「組織に合わせたカスタマイズ」「オン・オフラインハイブリッド」の4点を上げた。

この中で最も重要なのは「オン・オフラインハイブリッド」であるとし、オンラインのメリットと、オフラインのメリットのバランスをとって「オン・オフ」の障壁をなくし、ハイブリッド化を目指すことで物理的な制約をなくしていきたいという。

また、これらを実現するため、リコーとの協業も実施。360度カメラ「THETA」を使い、9月から実証実験を行なっている。固定式のカメラでは、カメラの方向を操作できたとしても、素速い動作は難しいが、THETAは常に360度の映像をリアルタイムで扱うため、高いレスポンスでスムーズなコミュニケーションが可能になるという。2022年3月頃を目処に正式サービスとして開始する予定。