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ホンダ、“空飛ぶクルマ”開発へ。ハイブリッド型で都市間移動を目指す
2021年9月30日 19:48
「Honda eVTOL」は都市間移動を実現するハイブリッド型
Hondaの研究開発を担う本田技術研究所では、モビリティの可能性を“3次元”や、時間や空間の制限に縛られない“4次元”、宇宙などに拡大し、人々の時間や空間に新たな価値をもたらす技術研究を進めている。
「Honda eVTOL」は、空の移動を身近にする電動垂直離着陸機。同社の燃焼・電動・制御・ロボティクス技術といったコア技術を新たな領域に広げる試みで、「HondaJetで実現した空の移動をさらに身近なものにする」という。
電動化技術を生かしたガスタービンとのハイブリッドとし、ハイブリッド化により航続距離を伸ばし、今後の市場拡大が見込まれる都市間移動に対応。Honda eVTOLをコアとし、地上モビリティと連携した、新たなモビリティエコシステムを創造する。
eVTOLは、電動化技術によるクリーン性やシンプルな構造で推進を分散化でき、安全性のや静粛性の確保も見込まれることから、開発競争が活発化している。一方で、オール電化によるeVTOLには、バッテリー容量による航続距離の課題があり、稼働範囲は「都市内移動」に留まっている。
Hondaは、電動化技術を生かしたガスタービンとのハイブリッドによるHonda eVTOLの開発に取り組み、航続距離の課題を解消。市場拡大が見込まれる都市間移動の実現を目指す。また、Honda eVTOLには、電動化技術のほか、燃焼や空力、制御技術といった、これまのHondaの技術が生かしていく。
Hondaは宇宙を目指す
また、Hondaは月面における活動や開発の拡大を目指す取り組みに着手。燃料電池技術と高圧水電解技術を生かした月面での循環型再生エネルギーシステムの構築を目指し、JAXAと共同研究を行なっている。
燃料電池技術と高圧水電解技術を組み合わせ、再生可能エネルギー由来の電力を使い、水を電気分解して水素・酸素として貯蔵。その水素と酸素から燃料電池技術を用いて発電し、月面でも電力の供給が可能となる。また、酸素は月面に滞在する人の居住用として、水素はロケットの燃料として、それぞれ活用。循環型再生エネルギーシステムを構築し、有人活動への貢献を行なうという。
また、宇宙飛行士の危険を最小化したり、地球に居ながらにして、月に居るかのような体験を可能としたりする月面での遠隔操作ロボットにおいては、アバターロボットで開発中の多指ハンドや、AIサポート遠隔操縦機能、衝突軽減のための高応答トルク制御技術など、Hondaのコア技術の多くを活用。JAXAの宇宙探査イノベーションハブにおける研究テーマとして採択され、2月から共同研究を開始している。
さらに、小型ロケットの開発にも取り組んでいる。人工衛星の打ち上げ需要に対し、ロケットが不足している状況が続いていることから、低軌道向け小型人工衛星の打ち上げを目標とし、小型ロケットを開発している。自動運転などで培った制御・誘導技術を生かし、打ち上げ後にロケットの一部を着陸させ、再使用することも想定した研究を行なっているという。