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Google検索を再構築する「MUM」。文脈や画像から関連検索
2021年9月30日 02:45
9月29日(アメリカ西海岸時間)、Googleは検索技術に関する年次会議「Search On」を開催し、Google検索に関する新技術を発表した。そこで発表された、Google検索に関する技術の一部をご紹介する。
検索に「MUM」を導入して再構築。まずは「英語」から
Googleは現在「MUM」という技術の開発を進めている。MUMとは「Multitask Unified Model」という技術。本質的には言語依存が小さい「多言語モデル」であり、情報の偏りや検索で出てくる情報の多様化を目指した基盤技術と言っていい。詳しくは以下の記事をご参照いただきたい。
Googleが目指す「一言で答えられない問題」に答える検索。「MUM」開始
MUMは検索全体の改善に、一部で導入が始まっている。例えば新型コロナウィルス情報の検索では活用済みだ。
今後はさらにより広い領域で、もっと多様な使われ方をするようになるという。MUMによってGoogleの検索機能は「再設計」され、より幅の広い情報を得られるようになるのだ。
例えば「アクリル絵の具での描き方」という検索キーワードから、「日用品でアクリル絵の具を使って絵を描く方法」がピックアップできたりする。これはアクリル絵の具、という要素から「そのことについて知るべき情報」を出したもの、と言える。
言葉から検索結果として出てきたイメージから、さらに「そのような絵を描くにはどうすればいいのか」という情報の検索も可能になる。
動画に関しては、動画の中に出てくる内容についても解析し、キーワード検索から「この動画の中に言及がある」という形でピックアップする。
また、検索キーワードに「なにを追加するとさらに深い洞察が得られるか」を指示してくれるようにもなる。これは現在の「よく検索されているキーワード」とは方向性が違うものだ。
すでに述べたようにMUMは言語依存性の低い技術だが、ここでのデモ画像が全て英語であることからわかるように、まずは英語で実装される。実装時期もそれぞれの要素によって異なる。
ビジュアルイメージからの検索はすでに利用可能で、動画内の内容検索は「数週間以内」、検索キーワードの拡大は「数カ月以内」に英語で利用可能になるという。
Googleレンズ+MUMで「画像+付加情報で検索」を実現
GoogleレンズでもMUMが活用される。
GoogleレンズはAIを使った検索機能。画像内の文字を「テキスト」にして検索したり、写っている風景や植物からそれがなにかを示したり、といったことができる。iOSでもAndroidでも使える。
MUMがGoogleレンズに組み込まれることにより、見つけた情報からさらに「関連情報」をピックアップ可能になる。
たとえば、自転車の変速機が壊れたとしよう。そんな時は、自転車の変速機自体を写真に撮る。するとGoogleレンズが「似た画像を含む情報」をピックアップするが、さらに「修理方法」と入力すると、今度は「自転車の変速機の修理方法」が表示される。
また、ある柄の服が気に入ったとして、でも欲しいのが「その柄に似た靴下」だったとする。この場合にも、Googleレンズで似た柄のシャツを探した上で、さらに「この柄の靴下」と入れれば、今度は似た柄の靴下がピックアップされるわけだ。
この機能はまず数カ月の間に英語版で提供される予定となっている。
デスクトップ版ChromeでもGoogleレンズが利用可能に
Googleレンズ自体の機能拡張も進む。
iOS版のGoogleアプリには、Webブラウズ機能とGoogleレンズ機能が備わっているが、近日中に、ページ上のすべての画像がGoogleレンズで検索可能になるという。
例えば、iOSのGoogleアプリでショッピングサイトを見ている時には、さらにGoogleレンズ機能を使い、そこから画像を手がかりにシームレスな検索が可能になるのだ。
ただし、この機能は現時点では、アメリカでのみ利用可能だという。
一方で、日本でも利用可能になるものがある。
それが「デクストップアプリ版ChromeへのGoogleレンズ導入」だ。こちらは数カ月以内に日本を含むグローバルで利用可能になる。
いままでGoogleレンズはスマホ向けの機能だったが、PC/Mac用のChromeからも使えるようになり、画像・動画・テキストなどをGoogleレンズで検索可能になる。
ショッピング検索に「店舗在庫確認」機能も
ショッピング関連検索にも追加機能がある。
日本でも利用可能になるのが「在庫確認」機能。特定の店舗に自分が求める商品の在庫があるかどうかを、その店舗のページまで行くことなく教えてくれる。
例えば、子供用自転車のヘルメットを探している場合、「在庫あり」を選択すると、近くの店舗で特定のブランドやタイプのヘルメットが棚に並んでいるかどうかを確認できる。
この機能は9月29日にアメリカで公開が開始され、その後、イギリス・オーストラリア・オーストリア・ブラジル・カナダ・デンマーク・フランス・ドイツ・日本・オランダ・ニュージーランド・ノルウェー・スウェーデン・スイスなどの一部の国でも開始される予定だ。
アメリカではアパレル商品の検索機能が強化され、ショップ情報やスタイルガイド、ビデオなども表示されるようになるという。