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花街文化を継承する歌舞練場・ホテル。京都 元新道小学校跡地

NTT都市開発は、京都市東山区で進める「元新道小学校跡地活用計画」の概要を発表した。京都市および新道自治連合会との三者で9月7日に締結した覚書に基づき実行されるもの。開業は2025年夏頃を予定。

ともに100年以上の歴史をもつ京都市の「新道(しんみち)小学校」と「宮川町歌舞練場」の建て替えにともなう再開発プロジェクト。「花街文化の発展と新たな賑わいづくりを通して、地域の更なる活性化と魅力ある街づくりに貢献する施設」として、両施設の面影を残しながら開発を行なう。また、ICTを活用し、VR技術によって新道小学校内部などを記録し、その歴史を伝えていく。

元新道小学校と宮川町歌舞練場

敷地内には、ホテル、歌舞練場、地域施設の3施設を、新道通沿いに整備。大和大路通、新道通、宮川町通の南北の通りに対して、東西に人の流れを生むように建物を配置する。また、宮川町通から新道通に抜ける道路も新しく整備する。

新道エリアでは、「新道小学校」と「宮川町歌舞練場」が共存し、地域に根付いた存在として親しまれてきたが、番組小学校として1869年(明治2年)に開校した新道小学校は、2011年(平成23年)に閉校している。また、宮川町歌舞練場は、特徴的な大屋根が宮川町を象徴し、花街文化継承の場として親しまれたが、施設の老朽化が進み、早期の建替が課題となっていた。

新道小学校
宮川町歌舞練場
記者会見では、宮川町花街 芸妓による舞妓舞踊「姫三社」も披露された。

既存の大屋根を活かした新歌舞練場

施設デザインは、隈研吾建築都市設計事務所が監修。歌舞練場は、象徴的な大屋根を保存し、街の象徴として新たな歌舞練場に設置するほか、大正時代の「唐破風(からはふ)」を復元し、歌舞練場の新しいエントランスを演出する。

新歌舞練場のイメージ
大正時代の図面にも描かれた大屋根
唐破風も復元

建物は宮川町の風景になじむよう、「すだれ」と「格子」をモチーフとしたデザインで統一。歌舞練場舞台装置(照明や幕を吊す装置)である「竹すのこ」は、新歌舞練場のホワイエ天井に移設することで歴史を継承していく。大正時代から現存する、劇場内部の唐破風も保存し、新施設に活かす。

竹すのこを活かしたホワイエ
劇場内部の唐破風も保存
新しい劇場内部のイメージ

歌舞練場の北側に新設する「地域施設」も、すだれと格子のファサードとして統一感を図る。室内は木の勾配天井に包まれた明るい多目的室と、地下には高天井の自治会スペースを備える。自治会スペースは地上からの光を取り入れ、室内を明るく保つ。

地域施設の外観
多目的室
自治会スペース

新道小学校跡に寺社仏閣をイメージしたホテル

新道小学校の跡地には、全89室のホテルを新築。隣接地に、小学校の面影を残した地域施設も新築する。ホテル運営会社やホテルブランドについては現時点で未定。

ホテルの外観は、歌舞練場や寺社仏閣をイメージとした外装。小学校跡地に現存するしだれ桜を移植するほか、寺社仏閣に用いる庇の意匠や隣接する歌舞練場の装飾を踏襲する。エントランスは木組みの大庇と竹をあしらったデザインとしている。

また、ホテルに隣接する「地域交流センターメモリアル」は、元新道小学校の外壁タイルを移設し、同校のイメージを残した外観とする。

ICTも活用し、さまざまなサービスや付加価値も提供。「新道小学校」と「宮川町歌舞練場」は、取り壊し前に施設内をデジタルアーカイブ化し、データとして残していく。

所在地は、京都府京都市東山区大和大路通四条下る四丁目小松町130番、125番1、同新道通団栗下る二丁目下柳町165番、同宮川筋四条下る宮川筋四丁目306 番 他15筆。敷地面積は、宿泊施設が約4,014m2、歌舞練場が約2,257m2。延床面積は、宿泊施設が約15,529m2、歌舞練場が約5,443m2。宿泊施設は地上4階、地下2階。歌舞練場は地上3階地下2階。