ニュース

花王、スマホで撮影した動画で幼児の歩行動作を解析

花王は、スマートフォンなどで動画を撮影するだけで、機械学習により3次元の歩行動作として詳細に解析できる「mGCC(mobile Gait Change Capture、エムジック)技術」を開発した。幼児の発育発達研究に応用し、今後高齢者の歩行支援などにも展開する。

スマートフォンなどで撮影した2次元の歩行動画を3次元の歩行動作情報に変換

従来動作解析でよく用いられてきたモーションキャプチャは、正確な3次元の解析ができる一方、複数台の赤外線カメラや計測用反射マーカーの準備など、特別な技術が要求され場所の制約もある。

mGCC技術では、一般的なデジタルカメラで撮影した2次元の動画について機械学習を行ない、動画から人体の骨格点の動きを3次元データとして算出できるようにした。これにより、いつでもどこでも簡単に歩行動作を解析できる。

同技術の幼児の歩行動作解析への応用として、保護者がスマートフォンなどで撮影するだけで、歩行の発達を確認できる手法の開発にも取り組んだ。

開発にあたっては、幼児の歩行動作をモーションキャプチャで計測。同時にデジタルカメラで歩行動作を撮影し、mGCC技術により3次元のデータとした。実際の日齢、モーションキャプチャによる推定日齢、mGCCによる推定日齢を比較したところ、mGCC技術はモーションキャプチャとほぼ同等の精度で日齢を推定できることがわかった。

モーションキャプチャ技術を用いた日齢の推定結果(左)/モーションキャプチャ技術とmGCC技術の推定日齢の比較(右)

同社はこれまで、ベビー用の紙おむつ開発の一環として、幼児の歩行動作を解析する研究を行なってきた。mGCC技術により、簡単に幼児の歩行動作の発達を知ることが可能になる。今後は、成人や高齢者の歩行動作の解析にも応用範囲を広げ、QOLの向上や健康推進などを支援する研究や技術開発を進める。