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トリケラトプス「レイン」の全身骨格標本が初来日。恐竜科学博
2021年7月20日 08:00
7月17日からパシフィコ横浜でスタートした「Sony presents DinoScience 恐竜科学博 ~ララミディア大陸の恐竜物語~ 2021@YOKOHAMA」が報道陣向けに公開された。今回初めて米国外に貸し出しされたヒューストン自然科学博物館所蔵のトリケラトプス標本「レイン」の展示をはじめ、白亜紀後期に存在し、現存しない大陸であるララミディア大陸を10のテーマで解き明かしていく展示会となっている。
科学に基づいた視点で恐竜王国だったララミディア大陸を解き明かす
展示会は、「プロローグ ~変わり続ける地球と生命~」からスタートし、「発見ラボラトリー ~科学が解き明かすララミディア大陸~」、「フィールドツアー ~少年トリケラトプスの冒険~」、「白亜紀体験シアター ~恐竜たちが生きる世界~」、「特別展示 『レイン』と『スタン』 ~LANE&STAN~」、「DinoScience Store ~物販コーナー~」、「フードコーナー 美食恐竜のキッチン」、「恐竜ワークショップ」という5つの展示エリアと3つのコーナーで構成されている。
展示の目玉のひとつが、ヒューストン自然科学博物館に展示されてから門外不出であった7×3m(全長×高さ)のトリケラトプスの実物化石「レイン」をはじめ、恐竜では世界で唯一脳腫瘍の痕跡が確認されたゴルゴサウルス「ルース」、トリケラトプスとティラノサウルスの幼体など、日本初展示を含む数多くの復元全身骨格が展示されている点だ。
骨格だけでなく、会場で上映される映像にも注目だ。「白亜紀体験シアター ~恐竜たちが生きる世界~」で上映されるコンテンツは、企画スタートから約2年かけ、最新の研究で明らかになった恐竜の体の造形から質感、動き方、さらには当時の植生に至るまで、イベントの企画・監修者でもある恐竜くんが徹底的に監修し、細部にまでこだわったソニーの映像制作技術力で精緻に再現したCG映像。横幅12m、高さ6.8mの大画面Crystal LEDに、圧倒的なリアリティと迫力での大画面に映し出される。
今回のイベントを企画・監修した恐竜くん(田中真士氏)は、6歳の時に国立科学博物館の恐竜全身骨格を見たことをきっかけに恐竜ファンとなった。その後、米国のアルバータ大学で古生物学を学び、ヒューストン自然科学博物館の館長であるジョエル・バーチ氏、ブラックヒルズ地質学研究所のピーター・ラーソン氏とも交流を持ち、現在はサイエンスコミュニケーターとして活動している。
「従来の恐竜展示イベントでは、一緒の時代にはいない恐竜が隣に置かれるなど、時代を俯瞰した展示が行われてきました。今回はトリケラトプスのレインがどんな世界を目にしたのかにこだわって展示を行なっています」と恐竜くんは展示コンセプトを説明する。
イベントの重要なテーマとなっている「ララミディア大陸」は、白亜紀後期9,960万年前から6,600万年前頃に存在していた大陸。現在は北米大陸の一部となっているが、多くの恐竜化石が発見されている。ララミディア大陸でレインが生きた時代とはどんな時代だったのか、最新科学をもとに解き明かす展示となっている。
「トリケラトプスの化石は多数発掘されていますが、レインは全身の80%が発掘されています。ほぼ完全に近い骨格ですが、特に皮膚の化石を見た時には鳥肌が立つような興奮を覚えました。この生き物は確かに生きていたのだと感じることができたからです」と恐竜くんは話す。
確かに実物のレインの骨格は、国外はもちろん、アメリカ国内でも展示ツアーが行われたことはない。今回が初めてのヒューストン自然科学博物館以外での展示であり、展示会が終了すると、他の場所などの展示などは行われず、即、博物館に帰ることになっている。トリケラトプスファンにとっては実物の全身骨格を目にする数少ない機会だ。
こうした骨格標本をはじめ、レインの骨格をもとに現段階では化石が発見されていない子供のトリケラトプスを科学的視点から推測、再現したものも展示されている。恐竜くんは、「群れからはぐれた恐竜の子供という、絵本などでよくあるストーリーではありますが、科学の視点でリアルなストーリーとなっています」と説明する。あらゆる場所が科学の視点に基づいた展示となっていることが大きな特徴となっている。
日向坂メンバーも登場
今回の展示会では、日向坂46の小坂菜緒さんが公式アンバサダーをつとめている。ただし、小坂さんは体調不良により活動休止していることから、報道陣向けイベントには、ピンチヒッターとして潮紗理菜さん、丹生明里さん、松田好花さんが登場した。
3人は会場を見学し、それぞれ会場を見た感想を話してくれた。
「(会場に)入った瞬間から世界観があって、3D映像や音響が充実していて、実際に恐竜たちが動いている様子を見ることができたので、まさにタイムスリップしたかのような、そんな貴重な体験をさせていただき、時間を忘れてしまうくらい楽しかったです!」と、恐竜の迫力ある姿に圧巻したと興奮気味に話す潮紗理奈さん。
「子供のトリケラトプスの足跡もあり、その足跡を辿って一緒に展示会を回っているような気分になることができました」と丹生明里さん。
松田好花さんは、「レインの化石を見させて頂いて、6,600万年前から、ほぼ完璧な状態で残っている化石なんだと知って、そんな貴重な化石を肉眼で見ることができて、本当に貴重な機会なんだと思いました」と話してくれた。
アンバサダーをつとめた小坂菜緒さんは、記者会見には参加できなかったものの、会場で販売されるグッズのデザイン、フードコーナーで販売されるフードで利用される恐竜のデザインを担当。さらに、会場で利用する音声ガイドのナレーター役をつとめている。小坂さんバージョンの音声ガイドを聞くと、小坂さんと一緒に会場を見学することができる。
なお、音声ガイドは小坂さんバージョン以外に、人気声優の花江夏樹さんが少年役をつとめ恐竜くんが解説を行なう「少年と恐竜くんバージョン」、人気声優の森川智之さんが落ち着いた口調でナレーションを行なう「ドキュメンタリーバージョン」の3種類のガイドが用意されている。
報道陣に公開されたイベントには、公式テーマ曲「ララミディア」を作曲したギタリストである、プロデューサーのDAITAさんと、バイオリニストの宮本笑里さんが登場。Crystal LEDを前に迫力ある演奏が繰り広げられた。
DAITAさんは、「実は昔、北米のレインが発掘されたあたりに住んでいたことがあります。その時のことを思い出し、さらに地球の壮大なロマンを感じることができる曲になればと作曲しました」と楽曲を開発したヒントを明らかにした。
宮本笑里さんは、「この曲を演奏すると、地球史の壮大なロマンを感じることができます」と笑顔で話した。
ソニーの最新技術も会場に
今回の展示会は、ソニーグループ9社が協力したイベントであることも特徴の1つ。ソニーグループ 副社長兼CFOの十時裕樹氏は、「欧米の博物館では、恐竜を科学の扉と位置づけ、子どもたちが科学の面白さを自ら見つけるための最適のコンテンツと言われています。私たちは、子どもたちに恐竜を知ってもらうことで、生き物や自然、科学や環境問題など、世界のさまざまな物事に目を向けてもらいたい、というソニーが目指す方向と同じ想いをもつサイエンスコミュニケーター恐竜くんこと田中真士氏とともに、科学の視点を大切にした、五感で感じる体験型エデュテインメントという新しい恐竜体験である“DinoScience“の創出を目指しました」と今回のイベントをソニーグループで主催した狙いを説明した。
この狙いを実現するために、会場には様々なソニーの最新テクノロジーが利用されている。DinoScience 恐竜科学博製作委員長で、元ソニー・ミュージックエンタテインメントCEOの水野道訓氏は、「今回の展示の中でもソニーとして特に力を入れたのが大型映像です。白亜紀後期、ララミディア大陸で暮らしていた恐竜たちを科学の視点によって再現したリアリティのあるCG映像を、ソニーが最高峰の技術を駆使したCrystal LEDで体験いただけます。横12m×縦6.8mの大画面とともに、7.1.2chの音響、床のハプティクスからの振動や風の演出により超高精細で圧倒的な迫力の大画面で恐竜のいた時代にタイムスリップをしたような臨場感を味わえます」と大画面Crystal LEDのアピールと共に、そこで上映される映像、さらに振動、風といった演出まで加わったコンテンツを見所としてアピールした。
ソニー恐竜博17日開幕。8K空間再現ディスプレイとCrystal LEDで恐竜の世界へ
肉眼で3D CGを見ることができる高精細な空間再現ディスプレイ(Spatial Reality Display)「ELF-SR1」も使われている。トリケラトプス・エドモントサウルス・ティラノサウルスの解説コーナーで、3D CGで恐竜を体感できる。トリケラトプスコーナーに展示された32インチタイプは、参考出展となる最大サイズのものとなっている。
KDDIとの連携で、「au 5Gで恐竜がよみがえる!スマートグラスをかけてAR体験」が提供される。期間限定で開催されるナイトミュージアムで、ARなど最新技術を活用した体験型コンテンツの提供が行なわれる。