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2030年の家はドローンポート・負圧療養室装備 ミサワホーム
2021年7月9日 16:22
ミサワホームは、暮らし、健康、環境など社会が抱えるさまざまな課題の解決につながるコンセプト住宅「グリーン・インフラストラクチャー・モデル」を、住まいづくりの体感施設「ミサワパーク東京」に建設した。1階をシェアオフィスとしながら、2階をプライベート空間とし、負圧で室外への感染を抑制する療養室や宅配用ドローンの発着ベースなども備える。
エネルギー面だけでなく、多面的かつ住まいの枠を超えたサステナブルな暮らしを提案する、2030年の住まいという位置付けのコンセプト住宅。「暮らし」「健康」「環境」、3つのテーマでサステナビリティを実現する新しいデザインとしている。
空間構成では、1階をシェアオフィスとして貸し出すパブリックな空間、2階を家族が過ごすプライベートな居住空間としている。シェアオフィスは⼼地よく、効率的に働くことのできる環境を整え、平⽇は働く場として、休⽇にはカフェのように地域の⼈々が交流する場として利⽤してもらうことを想定。これまで別々にあった住宅や職場、そして友⼈と集う場を⼀体的に提供することによってマルチプレイス化し、場所にとらわれない新しい暮らし⽅ができるようになるという。
将来的な車いすやロボットの活用なども視野に入れ、ホームエレベーターを含むフルフラットのバリアフリー設計を採用。スマホ操作で荷物を自動運搬する「収納支援ロボット」も導入。ビルトイン宅配BOXで受け取った荷物を、大規模収納空間「蔵」に運んで保管したり、指定した荷物を蔵の外まで運び出すなど、さまざまな作業を支援する。
2階のLDKは、エントランスの吹き抜けと開放感のあるガラスパーテーションでつなげ、透明・不透明の切り替えが可能な調光ガラスを採⽤。パーテーションを⼤きなスクリーンとして利⽤でき、離れて住む家族の様⼦をオンラインで映し出したり、料理教室などの集まりに参加したり、家にいながら離れた場所とのつながりを可能にする。
音環境としては、音の広がる範囲を一定の方向に制限する「超指向性スピーカー」を活用。家族が近くにいても、個々の部屋にいるように好きなサウンドコンテンツを楽しめる。
宅配物受け取り用の移動式「ドローンポート」も設置。A.L.I. Technologiesが実装したもので、バルコニーと隣接するフラットルーフに配置されている。荷物受け取り時は屋根下の待機場所から、荷物の到着場所に自動的に移動し、受け取り後は所定の位置まで戻って、ワイヤレス給電により充電しながら待機する。これにより、介護や育児など外出が困難な場合や、外出時でも荷物を受け取ることができる。
建物内のメンテナンス管理用UIは、従来の平面的なデザインとは異なり、実写画像の上にタグを埋め込んでボタンや情報を構成するインターフェイスを提案。タブレット端末などで画面上の照明やロールスクリーンをタップすることで直感的な操作ができる。温湿度センサーなどを活用した耐久モニターも搭載し、異常の早期発見や適正な時期のメンテナンス実施に役立つ。
除菌クロークや負圧療養室も
1階にある家族のプライベート用玄関には、非接触の自動ドアやタッチレス水栓を備えたクリーンクロークを設置。帰宅時、抗菌・抗ウイルス証明によって、靴やコートを、紫外線照射によってスマホを減菌できる。クローク内には冷蔵と常温で上下に仕切られたビルトイン宅配BOXを備える。洗面台には非接触の情報ミラーも装備し、交通情報や天気予報など外出時に必要な情報を確認できる。
2階のホームオフィスは、普段は書斎などとして使いながら、体調を崩したさいは療養部屋として活用できる。療養時には隣接する洗面、トイレまで含めて仕切り、独立換気とトイレの換気を併用して部屋を負圧にコントロールする。これにより空気の流出を防ぎ、家族間の感染リスクを抑制する。
寝室は、音や温湿度などをパーソナライズすることで健康的な睡眠環境と夫婦同室を提案。AIスピーカーやセンサーと連携したシーン制御により、入眠を誘うリラックスタイムや、睡眠中、起床時など、状況に合わせてベッドの角度や証明、加湿器、ロールスクリーンなどを自動制御する。超指向性スピーカーも採用し、起床時間が異なっても、一方のアラームによって隣で寝ている相手が起きることを防ぐ。また、睡眠中の心拍や呼吸、体動を自動測定し、睡眠スコアとして洗面台の情報ミラーに表示できる。
1.5階には、単なる⽔廻りではなく、健康に⼼地よく過ごせる居場所として「ウォーターリビング」を提案。壁⾯全体を情報ミラーとした洗⾯台には、寝室で測定した睡眠スコアや、床⾯と⼀体になった体組成計との連携機能、体温測定機能などにより、⽇常的に健康管理を⾏なえるほか、⼤画⾯モニターとして映画鑑賞も可能。2階のコネクテッドリビングとダクトを通じて空気環境をつなげるシェア空調により、寒い季節のヒートショックなど、健康障害も予防する。
屋外には自動車の給電や将来的なモビリティの使用も想定したビルトインカーポートを採用。隣接するレジリエンスウォール内部には、⾞と住宅間で給電するV2Hや災害時に⾞から電⼒を給電する「クルマ de 給電」のほか、防災エクステリアのスマート防⽔ボード、⾬⽔を活⽤する⾬⽔タンクを備える。タンクの⽔はポンプアップして2階バルコニーにある植栽の給⽔などに活⽤し、⾮常時には夫婦2⼈分で最⼤約8⽇分の⽣活⽤⽔となる。
屋根・外構に設置した太陽電池、燃料電池、蓄電池による全負荷型3電池連携システムにより、エネルギーの⾃⽴性を向上。停電時にも住まい全体に⾼出⼒の電⼒を供給できる。
1階の屋内エントランスホール「コネクテッドラウンジ」に植えたシンボルツリーなどの植栽には、⽔耕栽培のハイドロカルチャーを採⽤。通気性や排⽔性を⾼めることで、根の持つ空気浄化作⽤を促進させて空気質環境を良好に保ち、ファンを通じて室内にきれいな空気を送る。夏場には、⾬⽔を流すことで打ち⽔効果が⽣まれるドリップルーバーによって冷やされた涼⾵を室内に取り込みつつ、⾼窓やシーリングファンなどの連携で温かい空気を⾃動で換気する「涼⾵制御システム」により室内の温度環境を改善する。