ドライバーの行動から好みのお店を提案。デンソーとNTTデータ

デンソーとNTTデータは、車流データと人流データを活用した移動体験変革の実証実験を2020年6月から2021年3月に実施した。

車載器のデータから得られたドライバーの「運転特性・運転状況」と、スマホのGPS、Beacon反応ログなどから得られた「行動特性」を元にユーザーの嗜好を分析。ユーザーの興味関心に合った店舗情報を、最適なタイミングでレコメンドすることを目指す取り組み。レコメンドのタイミングは停車時など運転を妨げないタイミングに音声で行なうなど、ドライバーの安全運転に配慮して行なう。サービス提供側にも、生活者の行動変容にともなう見込み客の送客支援など、新たな価値を提供する。

現在は、外出時に「目的地は出かける前にWebで調べ、移動の途中で立ち寄る飲食店は個別のアプリで予約する」など、それぞれの行動が断絶されているという。将来は次世代コクピット、自動運転などテクノロジーの進展により、車内で触れる情報が増えることが予想されることから、これらをシームレスな体験として提供することで、生活者に価値のある移動体験を提供する。

3カ月の車両走行検証期間中に実施した2,217施設のレコメンド内容に対するモニターの評価を分析したところ、嗜好パターンや運転状況などユーザーの行動理解に基づいたレコメンドであるほど評価が高いという結果が得られた。これにより、車流データと人流データを組み合わせることによる移動体験への付加価値創出が可能であることが技術的に確認できたという。

今回の取り組みにより、モビリティ事業者は、「ドライバー体験の向上による顧客の取り込み」や「自動車をメディアとした新たな収入源の創出」を、サービス事業者は、「自動車内でのサービス利用という新たなマーケットへの参入」や「利用者の行動変容による顧客の取り込み」が期待できるとしている。

両社は今後、次世代コクピットやスマホ向けサービスなどの他、車流データと人流データによるユーザーの行動理解を軸にしたUXやコンテンツ提供の可能性をモビリティ事業者やサービス事業者とともに検討していく。