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150台のカメラを駆使するスマートストア「イオンスタイル川口」
2021年5月26日 08:00
イオンリテールは、「イオンモール川口」の核店舗として6月8日に開業する「イオンスタイル川口」を公開した。同社初の「DXを駆使した本格スマートストア」と位置づけられる店舗。
店内には合計149台のカメラを設置。AIによって客の購買行動などを分析して蓄積するほか、接客が必要な人などを自動で検出して、顧客満足度の向上を図る。陳列棚には動画を再生可能なサイネージも設置し、情報発信も可能とするほか、惣菜エリアでは蓄積されたデータに基づいた効果的な値下げも実施し、売れ残り商品を減らすことで食品ロスの削減にも取り組む。
売場を自動でヒートマップ化
店舗は1階から3階で、1階は生鮮食料品など。2階は日用消耗品や化粧品、医薬品。3階はファッション用品を中心とする。これら全てのフロアにAIカメラを設置して、顧客の動向を分析。例えば、ベビーカー売場に人が滞在している場合、AIが接客が必要と判断し、店員に通知を送ることでタイミング良く客のフォローができる。
ただし、売場に人が入ったら即店員を呼ぶのではなく、ある程度滞在していることが判断できた場合に呼ぶことで、助けを必要としている客にリーチしやすくなる。これにより店員が売場で常時待機する必要もなくなり、必要なところに必要なタイミングで対応ができ、省力化も図れる。実証実験を行なっていた店舗では、実際に売上が上がっているという。また、的確に店員を送ることができたとしても、知識がなければ満足な接客ができないため、AIカメラの導入によって、より店員の教育も重要になってきているという。
AIカメラによって店内全ての人数も把握でき、店内の導線や売場への立ち寄り時間、手を伸ばした商品などを自動でヒートマップ化することが可能。店内レイアウトや商品の品揃えなどの改善に役立てる。また、デジタルツインによって、店内をデジタル上で再現し、レイアウト変更のシミュレーションも行なえる。これまでは売れ筋商品やその売り方などについては、社員個人個人で意見が食い違うことがあったが、AIカメラの導入によって実際に「売れるか売れないか」を示す「ドライ」なデータを取得可能になり、的確な判断をしやすくなっているという。その他、酒類販売時の未成年者の検知や防犯対策にも活用する。
陳列棚で動画も流せる「シェルフサイネージ」
シェルフサイネージは、陳列棚に設置されたサイネージとカメラで構成。陳列棚上部には大型のサイネージ、棚部分には横長のサイネージを配置している。大型のサイネージにはカメラが搭載されており、棚の前に立った人の年齢や性別に合わせた情報を表示する。棚部分のサイネージは、商品の価格の他、商品情報などのQRコードなども表示可能で、その場で商品の詳細な情報やレシピなどをスマホで確認できるようにした。
現時点では、ダイナミックプライシングは導入していないが、シェルフサイネージ導入店舗で一斉に商品価格を設定するなどが可能で、価格の誤表記を防ぐことができるという。
値下げもAIで「最適化」
惣菜売場では、AIを使った値下げの仕組みも導入。誰でも簡単に値下げ作業ができるのが特徴で、例えば売場にある商品のバーコードを読み込み、その商品が店頭にいくつ置いてあるかを入力するだけで、最適な割引率が表示される。AI上では、現在時刻やリアルタイムな来店客数などから、その商品がいくらならどのくらい売れるか、というこれまでの実績が蓄積されており、それによって最適な価格を判断する。
既に試験導入していた店舗では、実際に販売価格を下げたとしても結果として売上は向上したという。廃棄される惣菜の量も約50％削減され、食品ロスにも貢献する。また、既存の端末で実現可能なことから導入コストも安いという。
レジゴーアプリAndroid版も
スマホを使って自分で会計ができる「レジゴー」も導入。店頭で専用のスマホを借りられる他、手持ちのスマホにアプリを入れて使用することも可能。iOS版のアプリは公開済みで、5月31日にはAndroid版も公開される。
また、「レジゴーゲート」も導入。これまでは会計後にレジ従業員がレジゴー端末を確認して会計完了を確認していたが、レジゴーゲートではゲートに端末をかざすことで完了の確認ができるようになる。
なお、イオンモール川口は当初5月28日開業予定だったが、埼玉県のまん延防止等重点措置が延長されたことにより開業が延期。6月8日の開業が決定した。
【更新】開業日が決定したため記事に追記