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安全・快適を目指す東京ドーム。顔認証技術を利用したDXの取り組み
2021年3月22日 08:00
スタジアムは“熱狂声援“から“快適体感”へ
読売新聞東京本社、読売巨人軍、東京ドームの3社は3月20日、東京ドームにおいて3月3日より実施している「ジャイアンツ×東京ドーム デジタルトランスフォーメーション(DX) プロジェクト」の取り組みを報道陣に公開した。
この取り組みは、読売新聞東京本社、読売巨人軍、東京ドームの3社が2020年7月に発表した「世界一清潔、安全、快適なスタジアムを実現する」という宣言を受けてのもの。すでに発表されているとおり、2022年シーズンからの本格導入を目指して、顔認証技術を使った入場管理や決済、電子チケットを利用した入場管理などの実証実験が行なわれている。
読売巨人軍 代表取締役社長の今村司氏は、コロナ禍によってスタジアムでの楽しみ方が旧来の”熱狂声援型”から、安全性を担保したうえで楽しむ”快適体感型”へと変わっていると指摘し、今回のDXプロジェクトは快適体感型の楽しみ方を具現化するものだと説明。そして、コロナ終了後には、快適さを保ちながら熱狂的に楽しめるようになる“快適熱狂型”の楽しみ方に変わっていくとの見通しを示し、「世界一清潔、安全、快適なスタジアムを実現するために様々取り組みを行なっていく」と宣言した。
マスクをつけていても1秒以内に顔認証
続いて、今回の実証実験で利用される顔認証入場や顔認証決済のシステムを提供する、パナソニック システムソリューションズ ジャパン サービスインテグレーション本部 IoTサービス部 サービス開発課長の津村賢一氏が、利用されている顔認証技術について説明した。
パナソニックの顔認証技術は、すでに全国で1日あたり10万件以上の照合が行なわれており、今回の顔認証技術もその技術をベースとしている。また、ディープラーニング技術を応用し、マスクやメガネを装着した状態でも高精度で認証できるように進化しているとのことで、マスクを付けた状態でも目の周辺など見えている場所だけで高精度に照合できているという。
顔認証入場システムは、ローカルサーバーを用意し、そのサーバーに利用者の顔情報を保存して照合を行なっているという。実際に顔認証入場の様子が公開されたが、マスクを装着した状態でも1秒かからず認証が行なわれることが確認できた。また、顔情報が登録されていない筆者が顔を近づけてもNGとなり、認証精度も問題なさそうだ。
なお、この顔認証入場は、現時点では関係者のみを対象としており、一般来場者を対象とした実証実験は6月頃を計画しているという。
顔認証決済は、東京ドーム内の「Dome Shop 104」と「G-STORE」の2店舗において実証実験が行なわれている。こちらも現時点では関係者のみとなっているが、4月末からは一般来場者も利用可能となる。
利用者は、あらかじめ専用サイトで顔情報や支払いに利用するクレジットカード情報など、必要となる情報を登録することで、対象店舗において顔認証のみで決済が行なわれ商品を購入できるようになる。利用している顔認証技術は顔認証入場システムと同じとのことだが、顔認証入場システムとは異なりクラウドサーバーを利用して顔認証を行なっているという。
実際に顔認証決済で商品を購入する様子が公開されたが、顔認証入場同様に、マスクを装着したままでも短時間で認証できることを確認した。なお、現時点での顔認証決済システムでは、決済時に顔認証に加えて、あらかじめ登録したPIN(暗証番号)も入力する2要素認証を採用している。顔認証の精度は十分に優れるとしつつも、100%安全に決済できることを担保するために2要素認証を採用していると説明し、2要素認証のあり方についても実証実験を通して検証を行ないたいという。
これら顔認証入場と顔認証決済は、実証実験では全く異なるシステムで運用される。ただ、今後は顔認証入場システムも顔認証決済システム同様にクラウドサーバーを利用したものへと切り替える計画。