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「消火フィルム」や「超薄肉射出成形容器」など 2021東京国際包装展
2021年2月25日 14:06
2021東京国際包装展が、2月24日~26日まで、東京ビッグサイトで開催されている。最新の包装技術などが一堂に会する展示会で、凸版印刷や大日本印刷、王子製紙など大手印刷メーカーらが製品展示を行なった。
凸版印刷ブースでは、発火したリチウムイオン電池などを消火できる「消火フィルム」を始め、お風呂でも使える紙製パック「キューブパック」や、薄肉化でプラスチック使用量を削減する「超薄肉射出成形容器」などが展示された。
消火フィルムは元々ヤマトプロテックが住宅などの建材用として開発したものだが、これを小型化し、凸版の透明バリアフィルム「GL BARRIER」に密閉して製品化したもの。発火時に消火フィルムが発する消火剤のエアロゾルが密閉空間に充満することで、化学反応によって消火する。エアロゾルによって消火をするため、密閉空間以外での能力は若干落ちるが、火災の原因として多い配電盤の内部や、モバイルバッテリ等に内蔵することで、延焼を未然に防ぐことができる。
キューブパックは、浴室などでも使える耐水性の紙パックで、プラスチックボトルとほぼ同等の耐水性を実現。内部には凸版が独自開発した、アルミに匹敵するという透明バリアフィルム「GL FILM」をラミネートしている。また、従来は難しかった、ポンプを中央に付けられる形状とし、キューブパックを「付け替え容器」としても使用できる。
超薄肉射出成形容器は、「超臨界流体」技術と、独自の成形技術により、一般的な射出成形プラスチックの厚みより約30%薄型化しながら強度も備えたもの。薄型化によってプラスチック使用量を削減する。
溶融樹脂に超臨界流体を溶解させることで、プラスチック樹脂を射出成形金型の隅々まで効率よく行き渡らせる技術により開発。これまで射出成形では成形が難しかった0.35mm厚までの成形が可能になる。流動性が向上するため、成形自体が困難だった生分解性樹脂やバイオマスポリエチレンなどの環境対応樹脂にも対応できる。
大日本印刷では、「超低反射フェイスシールド」を始め、モノマテリアル素材によるパッケージや、紙のラミネートチューブなど、プラスチック削減などを目指す各種パッケージ素材が展示された。
超低反射フェイスシールドは、光の反射を防止することで、装着者の表情を見やすくするほか、装着者の視界も良好になり、疲労軽減の効果もあるという。ディスプレイ用表面処理フィルムの技術を活用し、シールドパネルの両面に反射防止処理を施した。反射率は0.2%以下としている。
モノマテリアルパッケージは、チューブ本体やキャップ部分などを全て単一の素材で作ったもの。廃棄時に分別する必要が無いため、主に分別によるゴミ回収などが進んでいない海外市場向けとしている。
王子製紙は、「3辺可変フルオートシステム」など、大型のパッケージシステムを展示、デモを行なった。
3辺可変フルオートシステムは、商品サイズを自動的に計測し、商品サイズに合わせたパッケージを商品毎に全自動で作れるもの。商品をラインに流すだけで、サイズ計測から最適サイズのダンボール箱の設計、切り出し、製函、詰め込み、封函までを行なう。転がったりしないものなら何でも対応可能で、1時間あたり1,000個のパッケージができる。
類似のシステムとして「3辺可変セミオートシステム」も展示。フルオートと違い、自動で箱の組み立てまではしないが、自転車や釣り竿など、大型商品向けのダンボールを切り出すことができる。自転車などは通常、大型のダンボールを2枚貼り合わせるなどによって箱を作るが、このシステムなら1枚でダンボール箱を作ることができる。また、1個、2個程度の少数生産にも向いているという。