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出光SSで超小型EVのサブスク目指す「出光タジマEV」設立

出光興産は、タジマモーターコーポレーションと共同で、超小型EVなどの次世代モビリティやサービスを開発する「株式会社出光タジマEV」を4月に設立する。

出光のSS(サービス・ステーション)ネットワークおよび素材開発技術と、タジマモーターの車両設計技術を融合。移動に関する潜在的ニーズに応える超小型EVを核とした、新カテゴリーのモビリティを提供し、年間100万台相当の新たな需要を創出する。

タジマモーターの関連会社である「タジマEV」に出光興産が出資し、商号を「株式会社出光タジマEV」へ変更する。出光タジマEVとして初の新型車両は、10月に発表し、2022年に市場投入する。

開発中の超小型EVは、乗車定員4名(カーゴタイプは1名)で最大出力15kW、最高速度60km/h以下。充電時間は8時間。サイズは2,495×1,295×1,765mm。

その他、車載ソーラー、次世代バッテリーの採用、自動運転開発、グリーンスローモビリティ開発、新たなサブスクリプションやカーシェアモデルの展開、MaaSに関するデジタルプラットフォームの構築、リサイクルシステムの開発を進める。

両社はこれまで、公共交通機関が脆弱な地方部に着目し、実証実験を行なってきた。これにより地方部にかぎらず、さまざまなエリアごとに異なる移動手段のニーズがあることがわかったという。

岐阜県飛騨市・高山市、千葉県館山市・南房総市における2年間の実証実験では、高齢者層には免許返納に伴う移動ニーズが急増していることを確認。また、運転経験が浅い層は、買い物や子供の送り迎えでの自動車利用に不安があり、自転車や原付に代わる、雨風を凌げる安全で安心な移動手段に対するニーズがあることが分った。近隣営業を行なう営業職層は、1日の移動距離が15km未満で、車両稼働率も20%以下であり、軽自動車ほどの高い性能・機能は要らないと感じているという。

これら、既存の移動手段ではニーズが満たされない層の存在に着目し、需要規模は年間100万台に上ると想定。ニーズに応えるため、手軽で小回りの利く、必要最小限の機能を備えたモビリティと、デジタル技術を活用した利用の仕組み、法人と個人ユースを組み合わせた新たな利用モデル(ビジネス特許出願中)を提供。移動に関わるコスト低減と、地域課題に対する有効な解決策を提供していく。

具体的には、2020年9月に国土交通省が発表した超小型モビリティの新規格に準拠した新たなカテゴリーの超小型EVを開発。EVならではのスペース効率の高さを最大限活用した4人乗りで、近距離移動に最適な車両とする。

既存の軽自動車よりも一回り小さく小回りが利き、最高速度60km/h以下の低速で走行することから運転の不安を感じている高齢者層や運転に不慣れな層も利用しやすい。

シェアリングやサブスクリプションなど変化する利用者ニーズに応えるMaaSを開発し、超小型EVと合わせて、全国6,400カ所の系列SSネットワークで提供する。

今後は、系列SSで展開している電力販売と超小型EVを組み合わせた新サービスの開発、高齢者の運転状況を見守る仕組み、個々の車両を蓄電池と見立てた分散型エネルギーシステムの構築、車両・バッテリーのリサイクルシステムなど、新たなモビリティサービスの開発に取り組む。