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ユーカリが丘コミュニティバスが開業。顔認証決済を試験導入
2020年11月7日 09:15
不動産事業の山万は、千葉県佐倉市の山万ユーカリが丘ニュータウンを整備しており、新交通システムとして山万ユーカリが丘線を運営している。11月7日からは、「ユーカリが丘コミュニティバス」としてバス路線を開業する。当初は現金のみだが、来年からは顔認証を試験導入。将来的にはユーカリが丘線との連動も視野に検証を行なう。
ユーカリが丘ニュータウンは山万が1971年から開発。安定して居住者を増やしており、約19,000人の住人を抱えている。1982年には、当時社会問題になっていた大気汚染へと対応するため、電気駆動の新交通システムユーカリが丘線を開業。ニュータウンの住戸全てが10分以内に駅に着ける点を特長としている。
ところが、住民の高齢化もあって、10分でも遠いという声があり、2009年には新たに電気バスの実証実験を開始。2013年にはコミュニティバスの実験を行ない、利用者からの評価が高かったことから、正式にバス事業の免許を取得。ニュータウン内を走る5系統6台のコミュニティバスの正式運用を開始することになった。
基本的にはニュータウンの住人をターゲットにしているため、ユーカリが丘線の定期券ユーザーはそのまま乗車できるほか、現金での乗車も可能。現在はキャッシュレス決済への対応はしていないが、それに変わる仕組みとして顔認証を導入する。
顔認証はパナソニックの技術を利用。決済、チケット管理などのシステムはジョルダンが提供する。ジョルダン提供のアプリで顔を登録。特徴データをサーバーに保存したうえで、クレジットカード情報を登録すれば、そのままバスに乗ることができる。乗車ごとの精算は1カ月分をまとめて行ない、定期券の購入も可能。システムとしては、ジョルダンのJorudan Style Point & Passソリューションを利用する。
バスの乗降口にはパナソニックのTOUGH PADを設置。乗車する際にカメラで顔を検出し、LTEを使ってクラウド経由で認証を行なう。
同じ11月7日からは、富士急行が顔認証でバスに乗れる実証実験を実施し、そちらにもパナソニックが技術提供しているが、経路内に携帯電波の弱いエリアがあったため、バス内にエッジコンピュータを設置している。
ユーカリが丘コミュニティバスでは通信環境が良好なため、LTE経由の顔認証を初めて実施。バスは移動するため、さまざまな環境での顔認証が必要なことから、その速度や精度も含めた実証実験となる。
山万では、ユーカリが丘でさまざまな取り組みを続けており、住人向けのアプリ配信に加え、分譲マンションではグローリーの顔認証を使った入館システムを提供。地域共通ICポイントサービスも実施する。その一環として、今回の顔認証による公共交通機関の乗車に取り組んだ。
当初は実証実験として実施し、効果を確認。問題がないと判断した場合は正式導入に加え、ユーカリが丘線とも連携して顔認証で乗車できるようにしたい考えだ。