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柔らかなロボットハンドで果物もつかめる。DNP、伸び縮みする接触センサ
2020年10月9日 17:22
大日本印刷は、伸縮自在の配線構造を持つ「接触センサーユニット」を開発した。10月20日から開催される「CEATEC 2020 ONLINE」で公開する。
柔らかく、柔軟性のある指先を持つ「ロボットグリッパー」向けのセンサー。これまで人が行なってきた果物や野菜などのピッキングを柔軟性のあるロボットグリッパーで自動化し、省人化を実現できる。
傷みが生じやすい果物や野菜などを扱う食品分野では、柔軟性のあるロボットグリッパーが用いられるが、これには物を持ち上げる「把持力」を検出する接触センサーを取り付ける必要がある。しかし、従来は接触センサーを繋ぐ配線ケーブルがピッキング作業の邪魔になり、誤ってケーブルをつかんで断線することがあった。邪魔にならないようロボットグリッパーに直接ケーブルを装着すると、伸縮性のない通常のケーブルでは断線してしまう。
また、現在はフィルム状の基板も存在するが、フィルム状の基板は曲げたり丸めたりはできるものの、伸び縮みはできない。
DNPは、独自の「伸縮性ハイブリッド電子実装技術」を活用し、柔軟性のあるソフトなロボットグリッパーに直接装着しても断線しない、伸縮自在の「接触センサーユニット」を開発した。「伸縮性ハイブリッド電子実装技術」は柔軟な基材を曲げ伸ばししても抵抗値が変わらない電極配線を可能とするもの。固い部品を電子回路基板上に実装しても伸縮時に断線しない工夫も盛り込んでいる。
「接触センサーユニット」は、伸縮配線と感圧ゴムを組み合わせた構造で実現。一般的な接触センサーの方式には静電容量式と感圧式があるが、静電容量式は伸縮時の配線の容量変化が課題となる可能性があり、今回の実証研究では感圧式を採用した。
厚みは約2mmで、配線材料は銅を使用。130%までの伸縮動作を、食品ピッキングに必要とされる100万回程度繰り返しても、電気的・機械的特性が損なわれないことを確認している。接触センサー以外にも応用可能で、一般的な電子部品製造プロセスにより製造されるため、量産性も優れるという。
今後は、NEDOおよび産総研、立命館大学との連携を通じ、把持力の検出だけでなく、ロボットのフィードバック制御や駆動においてもさらなる精度向上と、きめ細かなロボット制御を実現し、労働生産性の低い産業へ導入することを目指す。