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Sansan、イベントテック事業に参入。法人のセミナー開催を支援

Sansanは、ビジネス展示会やカンファレンスにおける、開催前の集客・登録管理、開催中の会場受付・動画配信、開催後のアンケート管理など、多岐に渡る業務をトータルでサポートする「イベントテック事業」を開始。法人向けセミナー管理システム「Sansan Seminar Manager」等を提供する。

イベントテックは、名刺管理サービスなどで培ってきたテクノロジー等を組み合わせた新たなソリューションサービス。展示会、カンファレンス、セミナーといったイベントの主催者や運営者に対して提供する。

新サービスの法人向けセミナー管理システム「Sansan Seminar Manager」や2021年提供開始予定のイベント拡散機能「Eight ONAIR」をはじめ、「Smart Entry by Eight オンライン名刺」、「オンライン名刺」、「logmi」といった、同社グループ内の既存サービスを組み合わせ、イベントテック領域における取り組みを強化する。

募集ページ作成や参加者管理を簡便にする「Sansan Seminar Manager」

新サービスのSeminar Managerでは、募集ページ作成から、来場者フォーム、受付、ウェビナーの開催及びアンケート集計までをカバーし、イベント運営と来場者データベースの構築をサポートする。

Sansan Seminar Managerについて説明する、Sansan 新規事業開発室 室長 林祐樹氏

募集ページの作成については、Seminar Manager上で開催概要を入力することで、あらかじめ用意されたテンプレートにより自動で作成。最短10分で作成開始からページ公開まで完了する。

参加の申込み等に使う入力フォームは、Sansanが独自に開発した、「会社名予測機能」と「フリードメイン判定」の2つの特徴を持つAIフォームを採用。

会社名予測機能は、AIがメールアドレスのドメインから所属企業名を推定。フォーム入力する来場者は、企業名を手入力する必要がなくなる。

フリードメイン判定は、gmail.comなど独自に学習した約5,000件のフリードメイン辞書で、セミナー主催者は「会社のメールアドレス」を取得しやすくなる。

またフォーム機能に、9月にリリースしたエントリーフォーム「Smart Entry by Eight オンライン名刺」が対応。参加者がEightのオンライン名刺を使っていれば、エントリーフォームに設置されたQRコードを読み取って、「ENTRY」のボタンをタップするだけでエントリーが完了する。

Eightのオンライン名刺を使っていない場合は、QRコード読み取り後に名刺を撮影することで自動的に名刺情報が登録され、その情報を確認したうえでエントリーに進む。

受付システムは、オフラインセミナー向けの「無人受付システム」と、ウェビナー向けの「自動受付システム」を用意。

無人受付システムでは、受付にSansanが開発した専用端末を設置することで来場受付が可能。来場者は自身の名刺を専用端末にかざすだけで、Web申込み登録時のデータと即時照合され、受付が自動的に完了する。

自動受付システムについては、参加者毎にユニークなウェビナー受付用のURLを発行・配布。受付用URLを経由してYouTubeやZoomといった配信サービスに遷移し、視聴する流れとなる。これにより主催者は、ウェビナー登録者の参加/不参加の把握が可能となる。

契約形態は年間契約で、料金は月額5万円から。年間を通じたセミナー開催数や規模によってプランを選択できる。

集客からアンケートまでトータルでサポートする「イベントテック」

イベントテックは、イベント運営の効率化や参加者満足度の向上、効果の最大化をサポートする事業。開催前の集客・登録管理から開催後のアンケート管理までを、様々なサービスの組み合わせにより提供する。Sansanでは、CREATIVE SURVEYやイベントハブへの出資、ログミーのグループ化など、イベントテックへの投資を1年前から進めてきた。

イベントテック事業戦略について説明する、Sansan 取締役 CFO 橋本宗之氏

開催前の集客に関しては、名刺データを活用したインフィード広告の配信ができる「Eight Ads」を提供。狙いたいターゲットに対して広告戦略を展開できると説明した。エントリー受付に関しては、Seminar Managerの中でも提供する「Smart Entry」を紹介した。

これらの集客やエントリー受付により、主催者にとっては効果的な集客活動や正確な参加者情報取得ができ、参加者にとってはエントリーのための手間が削減できるとアピールした。

開催中のサポートに関しては、「オンライン名刺」の活用を促進。オンラインイベントにおける課題である、参加者同士の交流ができない、相手がどんな人かわからないなどの解決につながるとしている。

そのほかイベント管理についてはイベント管理システム「eventhub」と連携、開催後についてはアンケート・ヒアリングツール「CREATIVE SURVEY」と連携するほか、ログミーの書き起こしメディア「logmi」の活用により非参加者への情報配信につなげる。

2021年には、Eightユーザーが自身に合ったイベントと出会うことができる「Eight ONAIR」の提供開始を予定。

オンラインイベントの情報をキャッチアップできないということをなくすためのもので、自分の職業や属性に最適なイベント情報を、Eight上で表示する。

そのほかの機能として、開催中・開催予定イベントの検索・一覧表示、お気に入り管理、オンライン名刺を使ったワンボタン参加などを予定する。

主催者にとっては、告知ページを簡単に開設可能で、Eightユーザーにアプローチできる点や、参加者情報をオンライン名刺で取得できる点をメリットとしている。

Sansan 代表取締役/CEOの寺田親弘氏はイベントテック事業について、法人向け名刺管理サービス「Sansan」、個人向け名刺アプリ「Eight」に続く、3本目の柱に成長させることを目指すと説明。日本国内に新しいイベントテック市場を切り開いていきたいと語った。

Sansan 代表取締役/CEO 寺田親弘氏