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リアサスで乗り心地向上した近距離モビリティ「WHILL Model C2」
2020年9月18日 08:00
WHILLは、新型近距離向モビリティ「WHILL Model C2」を発表した。9月21日より予約販売を開始し、10月中旬より一般販売する。価格は47万3,000円(福祉機器のため非課税)。介護保険利用のレンタル時は月額2,600円。
65歳以上のシニアの生活をサポートし、電動車いすよりも気軽に乗れる移動手段として開発されたパーソナルモビリティ。運転免許がいらず、歩道も走行できる。今回のモデルは、前モデルの「Model C」からユーザーの意見を取り入れて改良を加えたもの。
新たにリアサスペンションを搭載することで、乗り心地を改善。段差の乗り越え時や凸凹の道でも体への衝撃を和らげる。
従来、コントローラーやスイッチ類は左右の肘掛けに分散していたが、これを片方のみで全ての操作を可能にし、操作系をシンプルにした。コントローラー部は左右どちらでも好みに合わせて付け替えができる。また、従来よりも軽い力で操作できるようにした。
走行距離は従来の16kmから18kmに改善している。リチウムイオンバッテリー搭載で充電時間は約5時間。
テールランプは従来、背部中央の1カ所のみだったが、これを肘掛けの後部の左右2カ所に設置することで、車幅に近い位置で点灯するようにした。また、背面にリュックを下げた場合でもテールランプが見えるようになり、視認性が高まった。
アーム部分の跳ね上げ方法も改善。従来よりも回転中心部分を後方に位置させることで真横からもスムーズに乗り込みやすくなった。
車両は、4輪で後部2輪がノーパンクタイヤ仕様の駆動輪、前部2輪は前後左右に移動できるオムニホイール製。左右への転回は、後輪が互い違いに回転することで行なう。5cm程度までの段差を乗り越えることもできる。
全ての操作はコントローラー一つで可能。コントローラーを前に倒すと前進、後ろに倒すと後進、左右に倒せば方向転換ができる。コントローラーを倒す角度によって速度を細かく調整できる。
また、コントローラーに設置されたボタンで、最高速度を設定可能。速度は最大で時速6kmまで出るが、これをあらかじめ4段階で制限できる。例えば、障害物の多い場所では1段階目にセットしておけば最高で時速1km程度しか出ないようにできる。これにより、誤操作によって不用意に速度が出るようなことを防ぐ。
スマホで外部から操作も可能で、同行者が一緒に横を歩きながらスマホで車両を操作することもできる。
本体は手軽に分解も可能で車のトランクルームなどにも搭載しやすい。
本体サイズは、554×985×745~945mm(幅×長さ×高さ)。重量は約52kg。最大荷重は115kg。
筆者も試乗してみたが、コントローラーの操作は直感的ですぐに覚えられる。その場で左右に回転させたりすると思ったより機敏に動くが、ゆっくり動かしたい時にはコントローラーを少しだけ倒せばゆっくり動くので怖さはない。このあたりの調整が絶妙と感じた。
シニアの移動をサポート
WHILLは、ハードウェアだけでなく、サービスを含めた近距離移動のソリューション開発を手がけるメーカー。羽田空港などで、空港内の移動を自動化する、自動運転モビリティーの運用も行なっている。
新型コロナウイルスの影響もあり、公共交通機関などの利用率が減少している一方、自転車やキックボードなど、パーソナルな移動手段を利用する人が増加しているという。しかし、シニアも安心して利用できるパーソナルな移動手段はあまりない。
65歳以上の日本人は約3,600万人で、このうち500mを歩くことが困難な人口は約1,000万人。また、同社調査では、シニア層の約7割が、緊急事態宣言後に「社会参加機会」が減少しており、特に歩きづらさを感じているシニアにその傾向が強いという。そこにWHILL Model C2を投入する。
シニアが利用しやすいよう、11月からは直販を強化。購入相談や試乗サービス、運転アドバイス付きの購入サービスなどを電話やWebから申し込めるようにする。また、東京海上日動と連携して専用保険「WHILL Smart Care」も用意。自身の怪我や相手への補償のほか、24時間365日対応のロードサービスも提供。車両の故障時に代替車両を現場まで搬送してくれる。
これにより、シニアの移動をサポートし、買い物や通院など自立度の向上、組織、コミュニティなど社会への接点など、シニア層のクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献するとしている。