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JR東日本の「QRコード改札」を新宿駅で先行体験してきた

新宿駅の新南口改札に設置されたQRコードリーダー付き改札

JR東日本は現在開発中のQRコード改札の実証実験を東京の新宿駅で9月9日から30日まで、高輪ゲートウェイ駅で9月15日から29日まで(24-27日を除く)実施する。今回、新宿駅の新南口に設置されているQRコード改札について、報道陣に公開されたものを先行体験できたので、動画を交えて紹介したい。

実証実験が行われている新宿駅の新南口

JR東日本、QRコード自動改札の実証実験。新宿と高輪GW駅

利用者がQRコードでスムーズに改札を通過できるかの実証実験

ICカードの読み取り口のデザインを変更した新型改札は、2月より新宿駅で設置されており、3月からは新規開業した高輪ゲートウェイ駅でも稼働が始まっている。

今回は、新たに両駅でデンソーウェーブ製の読み取り可能面積が2倍になった新型QRコードリーダーが取り付けられ、QRコードを使っての改札通過を検証。JR東日本社員と一般モニターを対象にした、主にユーザー体験面での実証実験となっている。

QRコードリーダーが設置された改札の全景。これは出口専用

ポイントとしては、同社としてあくまで「チケットレス」での改札通過の実証実験としての位置付けで、QRコード改札をすぐにでも導入する計画が決まっているわけではないということ、そしてシステム的には新宿駅構内で閉じたクローズドループの環境であり、将来的に想定されているであろうオンラインに接続してのチケット処理や、駅間での通過済み切符の無効化処理を含むデータ共有などは現時点で行なわれていない。

取材時点では2種類のサイズのQRコード(切符)を用いた通過テストだったが、実証実験の期間中にはスマートフォンにQRコードを表示させての改札通過テストも行なわれる。

QRコードはこれくらいの距離感で読み取り可能
今回用意されているのは2種類のサイズのQRコード。ICカード大のものと通常の切符サイズのものの2つある

利用者の視点として気になるのは、やはり改札通過速度だろう。今回の実証実験は、QRコードにユニークIDが埋め込まれており、それを改札でチェックするというシンプルなものとなっている。今後オンライン処理や駅間同期などが行なわれた際には、より処理時間がかかることが見込まれるが、JR東日本研究開発センターのフロンティアサービス研究所主幹研究員で企画・駅サービス設備グループリーダーの石田拓司氏によれば「改札での滞留が起こらない程度を想定しており、ICカードでの通過時間と磁気切符での通過時間のちょうど間くらいの速度を目指している」という。

QRコードで通過中の様子その1

筆者の過去の取材によれば、ICカードのSuicaでは1分間に60人が通過することを想定している。少なくとも磁気切符の場合、それよりは時間がかかるため、おそらく反応速度そのものはSuicaなどとあまり変わらないと筆者は予想する。今回の実証実験は利用者がスムーズにQRコードを読み込ませられるかという点が主に検証されるため、今後の改良でICカードには及ばないものの、それに近い水準に近付けていくのだと考えられる。

動画で紹介するので、反応速度などは実際にその目で確かめてみてほしい。

QRコードで通過中の様子その2
QRコードで改札にタッチ。反応速度とQR位置確認