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ダイキン、医療用高性能マスクを共同開発。フィルター技術活用

純国産の医療用高性能マスクを4者で共同開発。試作品の評価結果などが発表された

国立循環器病研究センター(国循)の西村邦宏予防医学・疫学情報部長と白石公教育推進部長、クロスエフェクトと、ニプロ、ダイキン工業は、純国産の医療用高性能マスク(N95相当)を共同開発するため、4者による開発チームを結成した。まずは年内に小量での国内生産販売開始を目指す。

5μm以下の微細粒子(飛沫核等)を95%以上捕集することで、着用者のウイルス等病原体の感染リスクを減じる「N95マスク」などの医療用高性能マスクは、新型コロナウイルスの世界各国での感染拡大により、全世界的に不足が続いている。

特にエアロゾルが発生するような手技(気管内吸引、気管内挿管、下気道検体採取、歯科治療等)を伴う診療場面では、N95マスクの使用が推奨されるが、多くの市中病院では入手し難いという。そのため、厚生労働省が、本来は使い捨てされるべきN95マスクについてやむを得ず再利用するなど、例外的取り扱いについて事務連絡を発出する事態となっている。

そこで、国循は「国立高度医療研究センターとして、自施設病院だけでなく、国内の他の病院、海外でも広く活用できる医療用マスクを創出するべき」とし、N95相当の医療用高性能マスクの独自開発に着手した。

今回の開発品は大きく2つの特徴がある。1つは、柔軟性のある素材を使用し、日本人の標準的な顔面形状を元に形状を設計することで口元に密着可能で長時間の連続装着にも耐えうるという点。もう1つは、フィルターカートリッジ部分が着脱交換可能で、本体部分が繰り返し利用可能な点。

製品コンセプト

日本の厚生労働省が定めた「DS2規格」に準拠した評価試験を実施。試作品がN95マスクに相当する性能を示す結果が出ているという。将来的にN95規格とDS2規格の認証取得を目指す。

試作品の評価結果

開発チームの4者それぞれの役割としては、国循が医療現場のニーズを元にしたコンセプトを立案、試作されたマスクの臨床現場での評価によりコンセプトの実証を行なう。

国循内のオープンイノベーションラボに入居するクロスエフェクトは、精密3Dプリンティングを応用した独自の技術により生産に向けたマスクの設計/改良/試作と金型の作成を行なう。

ダイキン工業は、フィルター開発/化成品開発で培った技術を生かし、このマスクに使用する高性能フィルターの開発を担う。

ニプロは、樹脂製の医療用品製造で培った製造管理体制と販売チャネルを活かし、最終製品としての医療用高性能マスクの大量製造や販売を担当する。

医療施設に従事する医療従事者(医師/歯科医/看護師/就業歯科衛生士)は約172万人(平成30年版厚生労働白書・平成30年衛生行政報告例より)存在する。いち早く医療従事者を感染リスクから解放するため、新しい医療用高性能マスクの実用化を目指すとしている。