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イヌ・ネコの熱中症予防対策マニュアルを公開。日本気象協会

日本気象協会は、「熱中症ゼロへ」プロジェクトの一環として、犬や猫などペットの熱中症における症状、対策、応急措置についての情報をWebサイト上で公開。飼い主に向けたペットの熱中症予防・啓発内容をまとめた「イヌ・ネコの熱中症予防対策マニュアル」も配布する。

2019年7月に協会が犬の飼い主325名に行なった「愛犬の熱中症に関する調査」では、愛犬の4分の1に熱中症経験があり、飼い主の5人に1人は愛犬が熱中症になった場合の応急措置方法を知らないという。

Webサイトでは、犬や猫について、熱中症の症状、予防と対策、応急処置について紹介。アンケートからも分かるように、特に犬の熱中症は珍しいケースではなく、飼い主は症状と対策を知っておきたい。

症状としては、パンティング(ハアハアという激しい呼吸)や、よだれが大量に出ている、歯肉や舌、結膜などの充血・うっ血、頻脈など初期症状の段階では、なるべく検温をすることが望ましい。体温が40℃を超える場合には熱中症の疑いが濃厚という。検温は深部対応を測定するため直腸(肛門)から行なう。

虚脱状態になったり、下痢や嘔吐、ふるえ、意識の消失、痙攣などが起こった場合は重篤化しており、直ちに動物病院に連れて行く必要がある。こうした症状に付随してDIC(播種性血管内凝固症候群)を発生することも多く、この場合、高い確率で死に至るという。

予防と対策としては、屋内では風通しをよくし、ペットが自由に居場所を選択できるようにする。暑い時期の室内温度は26℃以下。直接日光が当たらないようにする。冷房機器は直接冷風が当たらないようにする。

屋外では、こまめな給水と、体表に水道水などをかけて冷却。風を送り気化熱を利用した頚部や体幹などの冷却も取り入れる。

車内では、外気温が25℃を超えるような環境下では締め切った車の中に残すことは避ける。活動的な犬や興奮しやすい犬の場合は、さらに低い気温でも熱中症リスクに注意する。

「熱中症ゼロへ」の調査では、日中の散歩(44.3%)に次いで、室内で過ごしている時(29.1%)に熱中症にかかったという回答がみられたとし、屋内外を問わず対策が必要としている。

応急措置としては、熱中症に対する治療の遅延が死につながるため、熱中症が疑われたら早急な治療(症状出現から90分以内)が必要としている。

具体的には、常温の水をかけ、水で濡らしたタオルなどで包んだり、涼しい場所で冷風を送る。特に、体を早く冷やそうとして冷水を使うと、末梢血管が収縮し、温度の高い血液が各臓器に循環してしまうため、発熱せず逆効果になると注意を促している。

冷やす場所は主に脇の下(前足の付け根の内側)、頭部喉側から首(頸動脈)、そけい部(後ろ足の付け根の内側)。

2019年に続き、飼い主に向けた愛犬や愛猫の熱中症予防・啓発活動として「イヌ・ネコの熱中症予防対策マニュアル」を作成。全8ページで、14.8×10.5cm(縦×横)の持ちやすいサイズとし、日本獣医師会の加盟病院で配布を行なっている。