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交通機関で“いつものカード”を目指す「Visaのタッチ決済」
2020年7月31日 08:30
ビザ・ワールドワイド・ジャパンは30日、「Visaのタッチ決済」の普及状況や日本の公共交通機関への導入などの取り組みについて説明した。日本ではSuica等交通系ICカードの普及が進んでいるが、地方交通のキャッシュレス推進や省人化の流れにあわせ、Visaのタッチ決済の導入を進めていく。
Visaのタッチ決済対応カードの発行枚数は、2020年3月末時点で2,390万枚を超え、1年で1,400万枚増と急速に拡大している。店舗の端末数も前年同月比で5.3倍に成長し、コンビニエンスストアの約70%で利用可能になるなど、「日常利用」の環境は、この1年間でかなり整備された。
利用者の行動変化としては、47.1%が「現金を使う機会が減った」としており、新型コロナ以降のユーザー心理とも合致。タッチ決済の取引数は、2020年6月で前年比12倍と急拡大。「より当たり前の決済方法に近づいている(コンシューマーソリューションズ 部長 寺尾林人氏)」という。
新たな取組が、公共交通機関におけるVisaのタッチ決済対応。既報の通り茨城交通の高速バスで29日から導入され、タッチ決済対応のVisaカードをかざして、乗車可能になる。公共交通機関におけるVisaのタッチ決済対応は、この事例が初となる。
Visaのタッチ決済は高速バスに最適? 茨城交通のキャッシュレス対応バスに乗る
Suicaなど日本では交通系ICカードが相当に普及しているが、Visaのタッチ決済の導入は、「まだSuicaなどが浸透しきれていない地域がある。また地方の事業者は、費用の面からSuicaの導入が難しい例もある(デジタル・ソリューション&ディプロイメントディレクター 今田和成氏)」としており、それらの事業者での普及を狙う。
Visaのタッチ決済のメリットとしては、普段使っているVisaカードが交通機関でも使えるほか、後から精算となるため割引や周遊券などのフレキシブルな料金体系でのサービス提供が行なえること。海外でもこの点が支持を得ているという。また、海外の来客も対応カードであれば決済可能となるため、利用者は国を問わずにどこでも使えるという大きなメリットが得られる。
特にインバウンド対応において、「訪日客が(お釣り等の対応が必要な)1万円札をもって高速バスに乗ってくる」など乗務員が対応に苦慮するケースもあり、こうした例に対応できる点が事業者から評価を得ているという。
海外においては、200以上の都市で公共交通機関に導入され、約500プロジェクトが進行中。英国の地下鉄・バスでの導入では、2018年6月時点で取引の半分以上がタッチ決済となっており、2020年中には累計30億件のトランザクションを達成。シンガポールでの導入事例では、同じカードを使えるため、駅周辺の店舗への波及効果も確認されているという。
日本では、茨城交通・みちのりホールディングスの事例のほか、福岡市営地下鉄での導入を検討している。新型コロナの影響でインバウンド需要が激減しているものの、地方では、人手不足によりチケットカウンターや発券機を減らす傾向があり、キャッシュレス促進とコスト削減の両面からVisaのタッチ決済を推進していく。