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月着陸船「HAKUTO-R」にシチズンの「スーパーチタニウム」
2020年7月31日 08:00
シチズン時計は、ispaceが開発中の民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のランダー(月着陸船)向けパーツとして、同社独自の素材「スーパーチタニウム」を使用したパーツの試作品を開発した。ランダーの着陸脚の一部として採用される予定。
開発されたのは、着陸脚の回転軸および連結部分の試作部品。月面着陸の衝撃に耐えるため、着陸脚には軽く、強度がある素材が求められるとし、回転軸や連結部分は可動部であるため、堅さに加えてなめらかさが必要という。
開発されたパーツには、チタニウムに同社製腕時計にも採用される表面硬化技術「デュラテクトDLC(Diamond-Like Carbon)」加工が施されたスーパーチタニウムを使用。スーパーチタニウムは、軽量でキズに強く、耐腐食性を備え、表面が非常になめらかなのが特徴。
DLC加工は一般的にも使用される技術だが、シチズンのデュラテクトDLCは、中間素材にこだわることで密着性を向上。表面加工がはがれにくく、耐久性に優れるとしている。腕時計に使用するため、見た目の美しさも備わっている。
こうした独自のチタニウム加工技術が、軽さ、強度、摩擦の少なさという点で、宇宙機に応用できそうだと判断され、試作品の開発に至った。
「HAKUTO-R」は2022年の月面着陸を目指し、ランダーとローバーの開発が進行中。フライトモデルの製造に向けて両社エンジニアで引き続き検討を続けていくという。
シチズンは1970年に世界で初めてチタニウムを採用した腕時計を発売。今年で50周年を迎えることを記念して、2020年冬にはチタニウム技術50周年記念フラッグシップモデル「SATELLITE WAVE GPS F950」が発売予定。価格は50万円で550本限定。ケース/バンド素材はスーパーチタニウム(デュラテクトDLC/デュラテクトサクラピンク)。