NEDOとシャープ、「年間充電回数ゼロ」を目指す1kW太陽電池セル搭載EV

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)とシャープは、世界最高水準の高効率太陽電池モジュール(変換効率31.17％)を使用して、電気自動車用太陽電池パネルを制作。1kWを超える定格発電力を備え、走行距離や走行時刻などの利用パターン次第で、年間の外部電源からの充電回数をゼロにできるという。

開発した太陽電池モジュールを日産自動車の協力でEV「e-NV200」に搭載。公道走行での実証を行なう。

太陽光パネルは、シャープがNEDOの「太陽光発電開発戦略」の一環として開発した「III-V化合物3接合型太陽電池モジュール」と同等のもの。変換効率は31.17％。約0.03mmの薄いフィルム状で、車体の曲面にそって効率よく搭載できる。これにより1kWを超える約1,150Wの定格発電電力を実現した。

NEDOでは、2016年4月に、産学の有識者からなる「太陽光発電システム搭載自動車検討委員会」を設置。シャープや日産自動車らが参加した同委員会では、2018年1月に公表した中間報告書のなかで「変換効率30％以上の太陽電池パネルを使用すれば、自動車のような限られた設置面積においても、1kWの発電電力を実現することが可能である」「ユーザーの利用パターン次第では、年間の充電回数をゼロにすることが可能である」との試算が出されていた。

今後は、車載での航続距離や充電回数などを評価し、車載用太陽電池の普及活動に活かすほか、太陽電池の新規市場創出とエネルギー・環境問題解決を目指す。

III-V化合物3接合型太陽電池は、インジウムガリウムリン(InGaP)、ガリウムヒ素(GaAs)、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)などの化合物を接合したもの。