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「接触確認アプリをダウンロードして」。安倍首相が呼びかけ

安倍総理は6月18日、記者会見を開き、新型コロナウイルスの対応や、19日からの「接触確認アプリ」の提供などについて説明した。

冒頭、河井克行 前法務大臣と河井案里参議院議員の逮捕について謝罪し、17日に閉会した国会について、「コロナ対応の150日」と振り返った。新型コロナウイルス対策の特別措置法や4月の緊急事態宣言、補正予算の成立などについて言及し、緊急事態宣言を5月25日に解除。「感染予防と両立しながら社会経済活動を回復する、コロナの時代の新たな日常に私達は向かっている」と現状を説明した。

新型コロナウイルスについては、「少しずつ特徴が見えてきた」とし、5月中旬からは濃厚接触者もPCR検査の対象にし、北九州における流行でも成果をみせ、東京の夜の街対策でも積極的に導入。「2次感染を防ぐには有効。リスクの高い人を特定し、積極的に検査し、陽性者を発見する。クラスター対策は、社会経済活動と両立する上で、極めて効果的な手段」と強調した。

新たな施策として、19日から「接触確認アプリ」を導入することを表明。陽性者と濃厚接触した可能性がある場合、「アプリを用いることで、自動的に通知が送られ、速やかな検査につながるシステム。個人情報は取得しない安心して使えるアプリ。どうか多くの皆さんにアプリをダウンロードしてほしい」と呼びかけた。

19日提供開始予定の「接触確認アプリ」

オックスフォード大学の研究では、人口の6割がアプリを導入し、接触者を早期に隔離するとロックダウンを避けられるとする。安倍総理は「社会経済活動を犠牲とするやり方は長続きしない。制限的でない手法で、感染リスクをコントロールしながら、経済を回していく。暮らしを守ることに軸足をおいた取り組みが必要」とした。

さらに6月19日からは、都道府県をまたぐ移動もすべて自由になり、プロ野球も開幕する。Jリーグも再開準備が進んでおり、コンサートも1,000人規模であれば開催できるようになるため、「経済社会活動を本格化してほしい。まさに新たな日常を作り上げていく」と強調した。

海外との往来も徐々に回復する。「海外とのつながりも細心の注意を払いながら少しずつ取り戻していく必要がある。現在の“鎖国状態”は経済に重大な影響がある。ビジネス上の必要の往来から段階的に回復していくことを対策本部で決定した。前提は、出国前の検査による陰性確認。ついで、入国時のPCR検査を実施する。そのうえで行動制限を緩和する。各国で行動往来の流れが出て来ている中で、日本はそれをリードしていく。そのためには検査体制の拡大が必要で、新たなPCRセンターの強化も図っていく」とした。

安倍総理冒頭発言

まず冒頭、本日、我が党所属であった現職国会議員が逮捕されたことについては、大変遺憾であります。かつて法務大臣に任命した者として、その責任を痛感しております。国民の皆様に深くお詫び申し上げます。

この機に、国民の皆様の厳しいまなざしをしっかりと受け止め、我々国会議員は、改めて自ら襟を正さなければならないと考えております。

150日間にわたる通常国会は、昨日、閉会いたしました。国会が始まった直後、中国で新型コロナウイルスが爆発的に拡大し、武漢の町が閉鎖されました。現地で不安な時を過ごす日本人とその家族の皆さんに安全に帰国していただかなければならない。そのオペレーションから全ては始まりました。

1月末には中国湖北省からの外国人の入国を拒否する措置を決定しました。その後も、世界的な感染の広がりに応じ、入国拒否の対象を順次、111か国・地域まで拡大し、水際対策を強化してきました。2月にはダイヤモンド・プリンセス号への対応、3月にかけて大規模イベントの自粛、学校の一斉休校、こうした取組を進める中で、我が国は中国からの第一波の流行を抑え込むことができました。

しかし、欧米経由の第二波の流行が拡大し、医療現場が大変逼迫(ひっぱく)した中で、4月に緊急事態宣言を発出いたしました。国民の皆様の多大なる御協力を得て、先月25日、これを全面的に解除することができました。そして、今、感染予防と両立しながら社会経済活動を回復させていく。コロナの時代の新たな日常に向かって、一歩一歩、私たちは確実に前進しています。

この通常国会を振り返るとき、正にコロナ対応の150日間であったと思います。この間、与党のみならず、野党の皆様にも御協力いただき、緊急事態宣言を可能とする特別措置法を速やかに成立させていただきました。与野党協議の場も設置をし、定期的な意見交換も行いながら、2度にわたる補正予算も早期成立に御協力いただきました。事業規模230兆円、GDP(国内総生産)の4割に上る、世界最大の対策によって雇用と暮らし、そして、日本経済を守り抜いていく。御協力を頂いた与野党全ての皆様に心から改めて感謝申し上げます。

150日前、全く未知の部分ばかりであったこのウイルスについても、少しずつその特徴が見えてきました。感染性が高いのは、熱や咳(せき)などの症状が出る1日から2日前。その時点では無症状であっても他の人にうつすリスクが高いということが分かってきました。この知見を踏まえ、医師が必要と判断した方に加え、5月末から濃厚接触者についても、症状がなくとも、全員をPCR検査の対象としました。

緊急事態宣言の解除後、北九州で一時、感染者が増加した際には、この新たな方針の下、濃厚接触者全員を対象に徹底的な検査を実施し、現在、新規の感染者は大きく減少しています。東京では、これまで集団感染が確認された夜の街で検査を強化しています。そのため、陽性確認者が増加していますが、こうした検査強化は、二次感染を防止する上で有効であると考えています。

リスクの高い人だけを特定し、積極的に検査を行い、陽性者を速やかに発見する、いわゆるクラスター対策は、社会経済活動と両立する形で感染の拡大を防止する、極めて有効、効果的な手段であると考えます。

経済活動の回復に向けて取り組んでいる世界の中で、今、我が国のクラスター対策に注目が集まっています。密閉、密集、密接、3つの密を避けることによって、日々の仕事や暮らしを続けながら感染を予防できる。これも、クラスター対策を進める中で得られた知見であり、3つのCとして、今、世界中で認識されるに至っています。

そして、明日からは接触確認アプリを導入し、このクラスター対策をもう一段強化していきます。陽性者と濃厚接触した可能性がある場合、このアプリを用いることによって、皆さんのスマートフォンに自動的に通知が送られます。そして、速やかな検査につながるシステムとなっています。個人情報は全く取得しない、安心して使えるアプリですので、どうか多くの皆さんにこのアプリをダウンロードしていただきたいと思います。

さきの会見でも申し上げたとおり、オックスフォード大学の研究によれば、人口の6割近くにアプリが普及し、濃厚接触者を早期の隔離につなげることができれば、ロックダウンを避けることが可能となります。繰り返し申し上げてきましたが、私たちはしっかりと発想を変えなければなりません。社会経済活動を犠牲とするこれまでのやり方は長続きしません。できる限り制限的でない手法で、感染リスクをコントロールしながら、しっかりと経済を回していく。私たちの仕事や暮らしを守ることに、もっと軸足を置いた取組が必要です。

だからこそ、我が国が誇るクラスター対策にこれからも磨きをかけていく。様々な専門家の皆さんの協力を得て、最新の知見、最新の技術を常に取り入れながら、絶えず進化させていく考えです。

そして、その大前提となるのは、十二分な検査能力です。既に唾液によるPCR検査も始まっています。抗原検査の更なる活用も進め、国内の検査体制を一層強化していきます。

そうした取組の上に、明日、社会経済活動のレベルをもう一段、引き上げます。明日からは、都道府県をまたぐ移動も全て自由となります。各地への観光旅行にも、人との間隔をとることに留意しながら、出掛けていただきたいと考えています。プロ野球も、明日、開幕します。Jリーグも、リモートマッチに向けた準備が進んでいます。コンサートなどのイベントも、1,000人規模で開催していただくことが可能となります。ガイドラインを参考に、感染予防策を講じながら、社会経済活動を本格化していただきたいと考えています。正に、新たな日常をつくり上げていく。

海外との人の流れも、もちろん細心の注意を払いながらではありますが、少しずつ取り戻していく必要があります。グローバル化がこれほどまでに深化した世界にあって、現在の鎖国状態を続けることは、経済社会に甚大な影響をもたらします。とりわけ、島国の貿易立国、日本にとっては、致命的であります。感染状況が落ち着いている国を対象として、ビジネス上の必要な往来から段階的に再開していく。そのための協議を開始する方針を、先ほど対策本部で決定いたしました。

その前提は、出国前に検査による陰性確認を求めることであり、加えて、入国時にもPCR検査を実施する。十分な検査によって安心を確保した上で、行動制限を緩和し、ビジネス活動を認める考え方です。各国においても人の往来の回復に向けた動きが出てくる中で、日本として積極的に各国と議論をリードしていく考えです。そのためにも、とにかく検査能力の拡充が必要です。経済界とも協力しながら、海外渡航者のための新たなPCRセンターの設置なども検討していきます。

今回の感染症によって失われた日常を、段階的に、そして、確実に取り戻していく考えであります。しかし、それは単なる復旧で終わってはならない。私たちは、今回の感染症を乗り越えた後の新しい日本の姿、新しい、正にポストコロナの未来についてもしっかりと描いていかなければなりません。

この感染症の克服に向け、現在、治療薬やワクチンの開発を加速していますが、別の未知のウイルスが、明日、発生するかもしれない。次なるパンデミックの脅威は、空想ではなく、現実の課題です。私たちは、すぐにでも感染症に強い国づくりに着手しなければなりません。

今般、テレワークが一気に普及しました。様々な打合せも、今や対面ではなくウェブ会議が基本となっています。物理的な距離はもはや制約にならず、どこにオフィスがあっても、どこに住んでいてもいい。こうした新たな潮流を決して逆戻りさせることなく、加速していく必要があります。

同時に、3つの密を避けることが強く求められる中において、地方における暮らしの豊かさに改めて注目が集まっています。足元で、20代の若者の地方への転職希望者が大幅に増加しているという調査もあります。集中から分散へ、日本列島の姿、国土の在り方を、今回の感染症は、根本から変えていく、その大きなきっかけであると考えています。

コロナの時代、その先の未来を見据えながら、新たな社会像、国家像を大胆に構想していく未来投資会議を拡大し、幅広いメンバーの皆さんに御参加いただいて、来月から議論を開始します。

新たな目標をつくり上げるに当たって、様々な障害を一つ一つ取り除いていく考えです。そして、ポストコロナの新しい日本の建設に着手すべきは今、今やるしかないと考えています。

パンデミックの脅威は、かねてから指摘されてきたことです。しかし、我が国の備えは十分であったとは言えません。テレワークなどの重要性も長年指摘されながら、全く進んでこなかった。そのことは事実であります。治に居て乱を忘れず。今回の感染症の危機によって示された、最大の教訓ではないでしょうか。

自民党は憲法改正に向けて、緊急事態条項を含む4つの項目について、既に改正条文のたたき台をお示ししています。緊急事態への備えとして、我が党の案に様々な御意見があることも承知しています。各党、各会派の皆さんの御意見を伺いながら進化させていきたい。建設的な議論や協議を自民党は歓迎します。

しかし、国会の憲法審査会における条文案をめぐる議論は、残念ながら今国会においても全く進みませんでした。今、目の前にある課題を決して先送りすることなく解決していく。これは私たち政治家の責任です。

今週、イージス・アショアについて、配備のプロセスを停止する決定をいたしました。地元の皆様に御説明していた前提が違っていた以上、このまま進めるわけにはいかない。そう判断いたしました。

他方、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している。その現状には全く変わりはありません。朝鮮半島では今、緊迫の度が高まっています。弾道ミサイルの脅威から国民の命と平和な暮らしを守り抜いていく。これは政府の最も重い責任であります。我が国の防衛に空白を生むことはあってはなりません。平和は人から与えられるものではなく、我々自身の手で勝ち取るものであります。安全保障政策の根幹は、我が国自身の努力にほかなりません。抑止力、対処力を強化するために何をすべきか。日本を守り抜いていくために、我々は何をなすべきか。安全保障戦略のありようについて、この夏、国家安全保障会議で徹底的に議論し、新しい方向性をしっかりと打ち出し、速やかに実行に移していきたい。そう考えています。

私からは以上であります。