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神戸市×出前館が地元飲食店支援「KOBE出前シフトサポート」
2020年4月24日 17:03
神戸市は出前館と連携し、地元飲食店と市民を支援する。市内の中小飲食店を対象に飲食店支援策「KOBE出前シフトサポート」を実施する。5月1日から7月30日までの期間限定で、出前館サービス利用料の一部を神戸市、出前館が助成する。通常10%のサービス利用量の半額の5%を神戸市と出前館が折半して助成し、飲食店の負担を抑える。また、出前館の初期制作費用(通常2万円)を免除する。
また出前館は、神戸だけでなく全国で配達代行手数料(商品代金の30%)の7%分を助成し、23%にする。期間は5月1日~10月31日まで。
神戸市は、4月10日にはUber Eatsとも連携し、飲食店、市民、就労をサポートする取組を発表している。出前館との連携は、「サービスエリア、ユーザー層などに違いがあることから、飲食店、家庭に広い選択肢を提供する必要があると考え、複数の事業者との連携を実現することとした」(神戸市 企画調整局つなぐラボ特命係長 兼 市長室広報課係長 長井伸晃氏)との狙いで実施される。
出前館も複数の自治体と連携し、利用者支援を行なってきたが、地域の飲食店を支援する施策を行なうのは、今回の施策が初となる。出前館の中村利江社長は、「日本でのフードデリバリーの基盤を作ると考える時期であり、赤字を広げてもこの連携を行なうべきと考えた」と説明。国内に緊急事態宣言が出された後、出前館に寄せられる飲食店からの出店問合せ件数は通常月の4倍になるなど、需要が拡大しているデリバリー需要に向け、事業強化を進める狙いで今回の連携を行なう。
出前館の加盟店数は全国22,000店で、国内最大級の出前注文サイトとなる。過去1年に注文した人の数325万人、1店舗あたりの月間平均注文数140件、出前館が受ける月間注文件数303万件で、1店あたり月間平均35万円の売上があがっている。
飲食店に対しては、タブレット1台で始められる、新たな売上を獲得するためのサービスとアピールしている。利用者から注文が入ると、加盟した飲食店側のタブレットなどに注文が届き、出来た商品を配達することになる。配達は店舗側の独自配達員(自配)、出前館の配達代行(シェアリングデリバリー)のどちらかが行なう。
通常、出前館の飲食店側の利用料金として、注文金額に応じて出前館サービス利用量が10%、出前館側の配達代行を利用する場合には商品代金の30%の配達代行手数料が発生する。今回の施策では、サービス利用料を期間限定で5%、配達代行手数料を23%に抑えることで、飲食店を支援する。
「会員数が300万人を超える、日本で一番選ばれる出前サービスとなっている要因は、当社のサイトをはじめ、LINEデリマ、NTTドコモのdデリバリーからも注文可能で、幅広い注文窓口をもっている。さらに飲食店にとっては、成功報酬型の手数料で月額固定費なしに販促ができること、配送担当を持っていない店舗でも、当社の配送を利用すればリスクなく出前事業に参入できること」と出前館 中村社長は説明した。
さらに出前館の配送員を活用することで、「日本の飲食店は美味しいものを作るところばかり。配送のクオリティを当社が保障することで、美味しいものを、美味しい状態で届けることができる」(中村氏)とアピールした。配達員は出前館側の拠点に出向き、そこから配達を行なうため、採用時の面接、教育などを行ない、現在は検温などの対策も徹底しているという。
利用する神戸市民に対しては、アプリが使いやすく、慣れれば1分程度で注文できる点、様々なジャンルの店舗が参加していることから幅広い食事を楽しむことができる点、利用料金に応じてTポイントを付与するポイント制度などがあることをメリットとしてあげている。さらに、「日本の特質といえるのか、注文時に到着時間が提示され、ほぼその時間通りに届けることができる体制となっている」(中村氏)という。
また、新規に出店する店舗に対して出前館が徴収する2万円の初期費用を、5月7日から7月31日までは免除する。4月7日に緊急事態宣言が発令された地域では同様の初期製作費用免除が行なわれていたが、神戸市ではさらに期間拡大することになる。
飲食店をはじめ、新型コロナウイルスの影響でリストラにあった人に対する就労支援策として、神戸市の飲食店勤務者を対象とした「飲食店向け緊急雇用シェア」を積極的に実施。神戸市もこの件をアピールすることで、働く場のなくなった人の収入確保、状況が回復次第、再び飲食店で仕事ができるようにすることを目指す。
出前館を利用する家庭向けには、出前館で使えるTポイント500円分、もしくはLINEデリマ、dデリバリーで利用できるクーポンを配布する。1人1回のみの配布で、送料を除いて1,000円以上の注文があった人に対し、5月1日から5月14日までの注文を対象とする。
神戸市では、1,500万円の予算をとって対応する。出前館の費用は非公表としているが、「現在、中小企業事業者で出前館に登録している店舗は200店。大手を含めると約500店が神戸市内の出前館加盟店。加盟していないところも含めると6,500店が今回の連携対象となる店舗で、そのうちの1割程度が加わり、神戸市で1,000店の加盟店体制となれば」と中村氏は話している。
前回、神戸市がUber Eatsとの連携を発表した際には100件を超える問合せが市側にあった。「Uber Eatsでは市内でも対象外地域があったが、今回の出前館との連携では市全体が対象となる」(神戸市 経済観光局担当部長 古泉泰彦氏)と市全体が対象となることで、前向きな反応を期待しているという。