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NECとTBSら、「ローカル5G」で停電時もスマホでテレビ。日本初
2020年3月27日 13:00
NECとTBS、IIJは、「ローカル5G」を利用した地上波テレビの同時配信実験に成功した。国内初。災害時を想定し、停電でテレビが使用できない場合でもスマホなどで緊急放送番組を視聴したり、地域に特化した情報提供を可能にする。
ローカル5Gは、通信事業者以外の企業や自治体が独自に構築可能な5Gネットワーク。国で指定された無線局免許を取得すれば構築できる。実験は、NEC玉川事業場敷地内のローカル5Gラボと、TBS赤坂放送センターで行なわれた。
実験では、地上デジタル放送の電波をローカル5G基地局近くで受信。TBSテレビの番組をNECのローカル5Gラボ内に設置した「MEC(Multi-access Edge Computing)」サーバーから同時配信した。停電時でテレビが使えなくても試聴可能で、インターネット回線やキャリア回線が輻輳している状況でも影響を受けず放送を視聴できるという。キャリア回線側にも負荷がかからない。
また、CM等が流れているコーナーを、地域に特化した災害情報にリアルタイムで差し替えることにも日本で初めて成功した。これにより、地域ごと、人ごとに異なるコンテンツ配信ができる。
これとは別に、MECサーバーを活用したネットワーク負荷削減も検証。MECサーバーは、サーバーを端末の近くに分散配置することで、ネットワーク帯域の削減等を可能にするもので、実験では、TBSのインターネット配信を、ローカル5G内のMECサーバーで直接受信して配信した。
これにより、通常のネットワーク配信よりも低い負荷でテレビ配信が可能。テレビやワンセグに頼らず、ローカル5Gのエリア内ならどこでもスマホなどで地上波テレビを視聴できるようになる。将来的に、ユーザーごとに個別のCMを流すことも可能。
なお、今回のローカル5G設備は、停電対策をしていることを想定。NECのローカル5Gラボ内でのクローズドな環境で行なわれ、実験室の外に電波が漏れない形で行なったとしている。
NECは、5G同時配信用ネットワーク構築立案、ローカル5G実験免許取得、ネット同時配信用エンコーダを提供。MECの動画配信サーバー、キャッシュサーバーをIIJが提供した。
今回の技術は、「キャリア5G」でも応用が可能で、全国規模の同時配信でも活用できるとしている。