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東京圏の鉄道遅延を地図やグラフで「見える化」。国交省

国土交通省は、遅延の発生状況について毎年公表し、経年で確認できるようにするため、「遅延証明書の発行状況」を数値化・地図化した資料等を公表した。

見える化するにあたり、東京圏対象45路線を有する各社局においてホームページに掲載している遅延証明書発行情報を経年で集計。10分未満の「小規模な遅延」と、30分以上の「大規模な遅延」を、それぞれ地図化している。

小規模な遅延発生日数が、平日20日間当たり11日以上となっているのは、小田急線、東急東横線、東京メトロ丸の内線・千代田線・半蔵門線・南北線。大規模な遅延発生日数が、平日20日間当たり2日以上となっているのは、埼京線・川越線(大崎~新宿~武蔵高萩)。

なお10分超30分以下の遅延についてはこれらの地図化に含まれていない。こういった遅延が多い路線は、東海道線(東京~湯河原/10.0日)、埼京線・川越線(大崎~新宿~武蔵高萩/9.4日)、中央快速線・中央本線(東京~甲府/9.2日)、中央・総武線各駅停車(三鷹~千葉/9.1日)など。

小規模と大規模の遅延のそれぞれの発生原因をグラフ化。小規模な遅延は2019年11月の平日21日間に発生した45路線での遅延の発生原因を、大規模な遅延は2019年1年間に発生した45路線での遅延の発生原因を割合にしている。

小規模な遅延については、原因の5割以上を乗降時の要因が占めていることから、利用者のマナーアップを働きかけるなど利用者の行動に着目した取り組みが重要としている。

具体的な対策としては、ソフト対策として、乗車位置サインの変更、ホーム要員・警備員の増員、啓発活動等、スムーズな乗降につながる取り組みを挙げる。またハード対策として、複々線の整備、ホームの拡幅、車両の更新等、輸送力増強、円滑な旅客流動を挙げている。

乗車位置サインの変更

大規模な遅延については、自殺や線路立入など突発的な要因が75%を占め、次いで故障等による要因と災害要因が多いとする。

対策としては、転落防止のためのホームドア整備、故障の際のバックアップ機能、啓発活動等を挙げる。また、早期運転再開のための折り返し設備の整備や、早期回復のための柔軟な運転整理等の必要性も唱えている。

折り返し能力向上

鉄道各社は、国交省が挙げている対策のほか、雪害対策、時差通勤の推奨、立体交差/高架化/複線・複々線化事業などの取り組みを進めている。