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0.2秒で自動改札通過。5G+QRコードのドコモ クラウド型ID乗車券
2020年1月24日 08:10
1月23日、24日に東京ビッグサイト 青海展示場で開催中の「DOCOMO Open House 2020」では、5Gを使った様々なソリューションが展開されている。交通サービスとして注目なのが「5Gを活用したクラウド型ID乗車券システム」だ。QRコードを活用した自動改札システムで、東芝インフラシステムズとドコモが協力して開発した。
駅の自動改札は、多くの乗客が通過するため高速な動作が求められ、Suicaなどの交通系ICカードは「0.2秒」で処理が完結する必要がある。この高速処理のため、現状の自動改札では、改札自体に利用者の乗降状態の確認や運賃計算を判別・処理する機能をもたせている。
今回のシステムはQRコードのリーダ(カメラ)を装備。コードを読み取ると、5Gネットワークを通じてクラウドサーバーに送信し、IDを元に乗車券処理を行ない、その結果を自動改札に戻す。改札本体には、計算や処理の機能は持たず、サーバーからの指示に従い開閉動作を行なうシンプルなものだが、5Gの低遅延特性を活かし、通常の自動改札とほぼ同等の0.2秒で処理が完了する。
実際にQRコードをかざして通過してみたが、通常の改札との速度な違いは感じられず、“普通“に使える印象だ。
また、QRコードを用いることで、dポイントなどのポイントやd払いなどの決済サービス連携が容易になる。さらに、複数の交通機関を連携させた目的地までのサポート(MaaS)など、外部サービスと連携した新たなサービス展開や、地域や日程を限定した企画型の乗車券なども想定されている。
今回のデモはQRコードを用いたが、クラウドサーバーを使ったID情報の認証と処理という仕組みは、顔認証やその他の認証方式にも応用可能という。
通信を使うことで、交通サービスの高付加価値化が図れるほか、自動改札機の低コスト化が図れる点もポイントという。
現在の自動改札機は、本体内での処理を行なうため本体や周辺設備を含め、設備投資規模が大きくなる。一方、新システムは、ID情報を読み取るカメラと5G通信機能は必須だが、入退場等の処理のための装置などは削減でき、構造もシンプルで低コスト化できる。そのため、地方の公共交通やバスなどでの導入から進めていく計画だ。
東芝インフラシステムズは、'19年11月に福井銀行や福井鉄道らと協力し、非接触ICカード(鉄道利用非対応)を使った鉄道乗降実証実験を実施。この実験にはQRコードは使っていないが、乗降情報や定期区間情報をクラウド側で一元管理するABT方式の改札システムを提供した。今後の実用化に向け、5Gによる高速化やシステムの高付加価値化などを検証していく。