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モーターショーで見る“クルマだけ”じゃない未来「FUTURE EXPO」
2019年10月26日 10:00
「第46回東京モーターショー2019」が10月23日に開幕した。最新のクルマやコンセプトカーが多数披露される“自動車の祭典”なのだが、一風変わった展示エリアとなっているのが「FUTURE EXPO」だ。
会場はビッグサイト青海会場近くの「MEGA WEB」。普段はトヨタの体験型総合ショールームだが、モーターショー中のFUTURE EXPOは「近未来に実用化されるであろう新技術」のショーケースとして、クルマに関係が深いものから、さほど関係なさそうなものまで、一同に会すイベントとなっている。
参加企業は、NTTやパナソニック、NEC、富士通などの60社。顔認証技術を使ったコンビニや水素エネルギーの紹介、テクノロジーとスポーツなど、モーターショーの他会場とは一風変わった展示が行なわれている。
燃料電池車・移動空間・空飛ぶクルマ
まずはクルマっぽいものから。
ビッグサイト青海会場で大きなブースを持つトヨタだが、水素ステーションや燃料電池車の展示はFUTURE EXPOで行なっている。後輪駆動のスポーツセダンとなった新燃料電池車の「MIRAI Concept」もこちらで展示している。
ホンダもクラリティFUEL CELLやスマート水素ステーションなどを展示。川崎重工なども水素系の展示は、主にFUTURE EXPO内にまとめている。
トヨタの新コンセプトカー「LQ」もFUTURE EXPOで展示。AIエージェント「YUI」により、利用者の表情や動作から感情や眠気などを推定。会話やリラックス誘導、音楽、車内イルミネーションなどを調整する。レベル4相当の自動運転にも対応する。
パナソニックは、2030年の自動運転時代を見越した車室空間の提案「SPACe_L」を展示。
車室内はディスプレイで覆われ、出発時にスマホで移動場所を決めておけば、リラックスしたりビジネスに使ったり、エンターテインメントを楽しんだりと、自由に移動空間を楽しめるという提案。
リラックスを選ぶと、乗客一人ひとりの体表温度にあわせてエアコンを制御、快適な温度をシートごとに調整して、落ち着ける映像をディスプレイに表示。ビジネスを選ぶと、シートを回転し、デスクやビデオチャット用のディスプレイに切り替わり、リモートでのミーティングなどが行なえる。
エンターテインメントでは、22chオーディオと、4面ディスプレイを使った没入空間を創出。ベルリン・フィルによる演奏などを楽しめる。
また、NECによる空飛ぶクルマの試作機や、A.L.I.Tecnologiesのホバーバイク、プロドローンの燃料電池ドローンなど、ドローン関連の展示も多数行なわれている。
クルマだけじゃないモーターショー
上記はクルマやモビリティに関係ありそうなものだが、さほどクルマに関係ない展示もかなり多い。
Car Watchの記事に詳しいが、FUTURE EXPOの運営は、オリンピック・パラリンピック等経済界協議会が担当。「おもてなしの技術」「低炭素社会実現技術」「地方観光を促進する技術」「eスポーツをはじめとした未来の競技創出および観戦技術」などがテーマとなっている。
そのため、オリンピックで活用予定のNECの顔認証ゲートやセコムのバーチャル警備員、eスポーツ大会「FIAグランツーリスモ・チャンピオンシップ2019」などもFUTURE EXPO内で展開される。
NECの顔認証ゲートは、東京オリンピック・パラリンピックで活用予定で、全ての入場者のほか、スタッフやボランティアも含め入退場を管理する。カードをかざし、かつカードに紐付いた顔を認識するとゲートが開くという仕組みになっている。
また、顔認証を用いたコンビニ風の店舗スペースも紹介。ドリンクや食料を購入し、バーコードをスキャン、顔認証を行なうと決済が完了するというもの。オフィス内の店舗やホテルのミニショップなどで、社員証やカードキーと決済・顔情報を組み合わせてハンズフリーで商品購入できる店舗を目指していく。
富士通は手のひらをかざして解錠・施錠が行なえる「手のひら静脈認証ロッカー」を展示。手のひらの静脈の情報を使って個人を認証するシステムで、宅配ロッカーで配達員の手のひら情報などを登録し、活用するといった利用イメージ。
シャープは、8K映像を使ったスポーツ観戦システムを紹介。スポーツデータを扱うネクストベースと共同で展開しており、シャープの8Kカメラを使って撮影した映像をもとに、野球のプレイデータを分析、プロ球団における分析などに役立てる狙い。
野球など多くのスポーツで、データを使った分析や戦略の強化が行なわれているが、取得しているデータは球速や配球などエリアを限定して取得しているものが多い。今回のデモでは、8K情報量を引きの画角で撮影し、打球の上がる角度など“動き”のデータを取得・分析し、戦略に活かす狙いとのこと。