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ウシをシマウマ模様に塗った「シマウシ」で害虫対策。愛知県で検証

黒毛和種のウシをシマウマ模様に塗った「シマウシ」

愛知県農業総合試験場で、黒毛和種をアブやサシバエなどの吸血昆虫から守る対策として、ウシにシマウマ様の縞模様を塗装するという新たな吸血昆虫対策技術の検証を行なった。

アブやサシバエなどの吸血昆虫は、ウシにストレスを与えるとともに、牛白血病などの病気を媒介するという。吸血昆虫は通常、薬剤で殺虫する。

「シマウシ」開発の経緯は、シマウマの縞模様の機能として、吸血昆虫を忌避するという説が有力であるとの海外での報告。これを受け、ウシにシマウマ様の縞模様を塗装し、その効果を検証した。

ウシは、吸血昆虫による吸血の際に痛みが生じるため、吸血昆虫を追い払おうと忌避行動をする。

検証では、体表が黒い黒毛和種に白色の縞模様を塗装した白シマウシ、黒色の縞模様を塗装した黒シマウシ、縞の塗装をしていないシマ無しウシを作り、各ウシに付着する吸血昆虫数と吸血昆虫を忌避する行動数を比較。なお、黒シマウシを作った理由は、塗料の影響を確認するため。

(左から)白シマウシ、黒シマウシ、シマ無しウシ

結果として、白シマウシの付着昆虫数は黒シマウシとシマ無しウシに比べて半減し、忌避行動数も25%減少。黒毛和種にシマウマ様の縞模様を塗装することによって、吸血昆虫の牛体への付着を阻害することが明らかになったとしている。

白黒の縞は、ウシ以外の家畜、さらには無生物に対して吸血昆虫の忌避効果が得られるものと考えられ、家畜の生産性の改善効果が期待できるという。さらに薬剤抵抗性の吸血昆虫が生じるといった問題も回避できるとしている。

今後は、より簡易に家畜に縞模様を描く方法や長期間縞模様を維持する手法の開発を行なう。

なお今回の検証の成果は、米国の科学誌「PLOS ONE」に、10月4日に掲載されている。