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「再エネ100タウン」の実現へ。パナソニックの新しいまち「Suita SST」
2019年9月19日 09:15
関西初のサステナブル・スマートタウン
パナソニックは、国内で3カ所目となるサスティナブル・スマートタウン「Suita SST」を発表した。14社、吹田市協力のもと、超高齢化社会と向き合いながら健康なくらし」を実現するまちづくりを、2022年春のまちびらきを目指し、開発していく。
Suita SSTは、パナソニックの工場跡地の大阪府吹田市岸部中5丁目、敷地面積23,465m2の土地に、ファミリー向け分譲マンション、シニア向け分譲マンション、単身者向け共同住宅、ウェルネス複合施設、複合商業施設、ヒートアイランド対策となる交流公園などの設備を作る計画だ。
タウンデータを活用した新しいサービスづくりや、近隣で進める北大阪健康医療都市(健都)を中心とした健康・医療のまちづくりなどと連携し、街の魅力向上を目指す。
施設構成は、8階建てのファミリー分譲マンション(100戸)、8階建てのシニア分譲マンション(126戸)、6階建ての単身者共同住宅戸数(73戸)、7階建てのウェルネス複合施設(サービス付き高齢者向け住宅戸数66戸、認知症高齢者グループホーム、在宅介護施設、学習塾、認可保育所)、複合商業施設、交流公園敷地面積など。
パナソニックの津賀一宏社長は、「関西では初めてのSSTとなるが、吹田市は北大阪健康医療都市で、医療機関が集積する恵まれた環境にある。地域にとどまらない社会全体の課題である超高齢化社会と向き合って健康なくらしを提案できるまちづくりを行いたい」と高齢化と前向きに向き合うことをテーマとした3カ所目のSST開発に意欲を見せた。
「エネルギー」「モビリティ」などの領域でパートナー協業
過去2つのSSTは神奈川県藤沢市、神奈川県綱島市と関東だが、今回は関西で初めてのSSTとなる。今後の社会問題となる超高齢化社会という課題を先取りした。
まちづくりパートナーとなっているのは、パナソニックと吹田市に加え、パナソニック ホームズ、大阪ガス、学研ココファン、竹中工務店、阪急オアシス、関西電力、積水化学工業、綜合警備保障、中銀インテグレーション、西日本電信電話、西日本旅客鉄道、JR西日本不動産開発、三井住友信託銀行。2022年春のまちびらきを目指し、多様な世代向け住まい365戸、ウェルネス複合施設、商業施設などを構築する。
パートナーとの協業によって「エネルギー」、「セキュリティ」、「ウェルネス」、「コミュニティ」、「モビリティ」の5つのサービスを提供する。
エネルギーは日本で初めて、再生可能エネルギー100%を実現する「再エネ100タウン」として太陽光、EV、蓄電池、先進ガス機器を活用したレジリエンス対策を実施する。
セキュリティでは不審者や異常を検知するためにタウンカメラによる見守りによって、行動検知による安全と安心ホスピタリティを実現する。人と技術を活用した街の見守り拠点を開設し、高度な画像検知とロボティクス技術、人的警備を組み合わせた先進タウンセキュリティを目指す。
ウェルネスの取り組みでは、住めば健康になるまちを目指し、運動を促す設備など健康を意識した建築デザインによる新たな空間創出を目指していく。認知症対策としてセンサーなどICTを活用することで早期に認知症を発見し、予防と緩和につなげていく。
コミュニティでは多世代交流を実現するようなタウンマネジメント、モビリティでは高齢者や障害者向けに最新モビリティを提供し、駅と一体となるようなモビリティ連携など、先端技術を活用する。
パナソニックは、こうしたサービスを共創するために街共通のプラットフォームとなる「HomeX」を中核とした基盤作りを行なう。これを活用することで、住民はスーパーマーケットで家族の健康にあわせた暮らしの情報、病院からは健康アドバイスをもらうといった活用を進めていく。
地域との連携では、近隣の健都をはじめ、吹田市のパナソニックスタジアム吹田、万博記念公園大学などとも連携し、エリア全体の価値向上実現を目指していく。
「施設完成で終わりではなく、50年先、100年先でも成長を続ける街の実現を目指していく」(パナソニック執行役員 井戸正弘氏)
不動産開発を手がけるパナソニック ホームズ 代表取締役社長の井上二郎氏は、「当社は戸建て住宅からスタートし、建築ビルダーとして不動産事業に新たなテクノロジーを組み合わせたくらしアップデートを実現してきた。今回はJR西日本不動産開発との共同事業による魅力ある街作りを進める」と説明した。
将来の社会課題を逆算して開発
今回の計画に早い段階から協力してきた吹田市の後藤圭二市長は、「吹田市は現在も人口が増加している珍しい自治体。大阪駅から、電車で十数分で到着できる。様々な世代に注目されている。本来なら、大規模商業施設の誘致も可能な地域だが、一元的な収入増加は求めない。むしろ長期的に市や住民にとってプラスとなる質向上につながる開発をお願いしている」と説明する。
実際にJR岸辺駅の目の前には、通称『健都(KENTO)』という北大阪健康医療都市として、病院など健康・医療の要素をもった施設が誕生している。Suita SSTではこの健都と連携しながら高齢化対策をはじめとした医療との連携を進めていく。
健都の中にある国立循環器病研究センターの小川久雄理事長は、「我々も7月に移転してきたが、新たな住人が増えることを歓迎する。AI、IoTなどを活用するまちとなると聞いているので、我々医療クラスタにとっては期待のまち」と賛同のことばを述べた。
事業を担当するパナソニック執行役員 井戸正弘氏は、「社会課題に対応するのではなく、将来の社会課題を逆算して新しいビジネスモデルを創出する。そこからパートナーとの協業によって進化させるが、今回は60社を超えるパートナーとの協業により施設空間の価値向上を実現している」とSSTのコンセプトを決定する背景を説明した。