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シャープ、ドリンクを-2℃に冷やすクーラーバッグ「TEKION COOLER」

シャープは、ドリンクの温度を-2℃で2時間キープする、独自の蓄冷材を活用したクーラーバッグ「TEKION COOLER」を、9月19日に発売する。店頭予想価格は5,000円。発表会でその冷たさを体験した。

TEKION COOLER(テキオン クーラー)は、炭酸飲料や日本酒、ビール、酎ハイなどを、“キンキンに”冷やすためのクーラーバッグ。家庭用冷蔵庫ではできない、-2℃という適度な温度に冷やせることを特徴とする。また、氷点下を2時間キープできる。

TEKION COOLERは、シャープ独自の蓄冷材と、専用のクーラーバッグで構成。蓄冷材を冷凍庫で10時間以上冷やし、その蓄冷材をクーラーバッグに入れ、通常の冷蔵庫で冷やしたドリンクをその中に入れる。30分待つと、-2℃のドリンクが完成する。

クーラーバッグに蓄冷材を入れて(左)、その中にドリンクを入れ(右)、30分待つ

完成したコーラを例に見せてもらうと、未開封の状態では通常の液体。しかしキャップを開けると、上のほうがゆっくりと凍っていく。さらにキャップをして何回か逆さまにすると、全体がシャーベット状になっていく様子が見られた。

未開封では見た目上、よく冷えたコーラ
キャップを開けると上のほうが凍っていく
何度か逆さまにすると全体がシャーベット状に

飲んでみると、氷点下のためか、通常のコーラよりも甘みが上品な印象。シャーベット状の部分を口の中に入れてシャリシャリ感を味わってみると、それが舌の上で融けていく、味覚とともに、今までにない舌触りを楽しむことができた。

表面はシャーベット状

温度管理ができる蓄冷材は、シャープの液晶材料の技術がベースになっている。液晶は個体と液体の中間の状態で、寒冷地でも液晶が凍らないようにする技術が必要だという。この技術を転用し、様々な温度で融け始める氷である蓄冷材を開発した。

求められる温度によって、使用する材料は異なる

商品化の経緯は、停電の多いインドネシア向け冷蔵庫に、5℃で凍り、10℃で融ける蓄冷材を開発、実用化。その後日本にもニーズがあるのではないかという考えから、社内ベンチャー「TEKION LAB(テキオンラボ)」にて、蓄冷材マーケットを模索する活動を、クラウドファンディングのマクアケとともに開始した。

石井酒造が限定醸造した日本酒とのセットで、クラウドファンディングサービス「Makuake」でプロジェクトを実行したところ、1週間で3,000本が完売したという。さらに、ビールやハイボール、清涼飲料水業界において、氷点下がうたわれる商品の登場や、-2℃で冷やす自動販売機の登場などのトレンドもあり、シャープブランド第1弾として、TEKION COOLERの商品化に至り、家電量販店などで一般販売を行なう。

今回発売されるTEKION COOLERの型名は「CQ-SS92A-A」。蓄冷材の温度は-11℃。クーラーバッグにはウェットスーツで使用される素材であるクロロプレンゴムを採用している。

クーラーバッグのサイズは約155×260mm(幅×高さ)、重さは約70g。蓄冷材パックは320×220mm、約436g。

TEKION COOLERの説明をしたシャープ Smart Appliances&solutions 事業本部 副本部長 田村友樹氏

蓄冷材技術をスポーツ分野へ展開

シャープは同日、蓄冷材を応用した商品展開を、スポーツ分野に広げていくことを発表。スポーツチームでのフィジカルコーチとして選手のトレーニングを担当する遠山健太氏が代表取締役を務める、ウィンゲートとともに開発を進めている。

具体的には、2020年春の商品化を目指して「TEKION暑熱対策グローブ」と「TEKIONアイススラリーBOX」の実証実験を行なっている。

TEKION暑熱対策グローブは、デサントジャパンを含めた3社が共同開発した、深部体温の上昇抑制効果が期待できるグローブ。

TEKION暑熱対策グローブ

蓄冷材を入れるためのポケットを手のひら側に備えており、蓄冷材は12℃のものを使用。手のひらが冷やしすぎによる痛みを感じることがないよう、17℃以下にならないことを特徴としている。

ポケットに蓄冷材を入れて使用する

ランニングやウォーキングをはじめとしたスポーツシーンでの暑熱対策グッズで、グローブを採用した理由は、手掌部(手のひら)は「熱放散」を目的とした血液冷却部位として有効であるためとする。現在実業団のマラソンチームの協力のもと、実証実験が進められている。

TEKIONアイススラリーBOXは、微細な氷の結晶を含んだ飲料「アイススラリー」を電源なしで作れるクーラー容器。-11℃の蓄冷材とクーラー容器で構成される。

TEKIONアイススラリーBOX

アイススラリーは、氷が体内で融ける際に大量の熱を奪うため、冷蔵庫などで冷やした飲料よりも効果的に体を冷やすことができるという。現在セレッソ大阪の協力のもと、実証実験が進められている。

なおTEKION COOLERの蓄冷材も-11℃だが、使用する容器の違いにより、TEKION COOLERでは、BOXのようなアイススラリーを作れないと説明した。

今後は、美容、医療及び医療物流など、様々な分野・業界への展開を計画する。

スポーツ分野への事業展開を説明するシャープ 研究開発事業本部 材料・エネルギー技術研究所 課長 内海夕香氏。TAKION LAB CEO 兼 CTOも務める