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奄美諸島キャッシュレス化へ Origamiが「奄美群島応援団」参画
2019年8月23日 00:01
Peach Aviation(ピーチ)と鹿児島県は、共同で「奄美群島応援団」を発足し、奄美群島の魅力発掘とともに、キャッシュレス化にも取り組む。ピーチは21日、関空(大阪)~奄美線を12月26日に就航すると発表し、あわせて奄美群島応援団の取り組みを説明した。
ピーチの奄美発着就航にあわせた「奄美群島応援団」
ピーチの代表取締役CEOである井上慎一氏は、ピーチの奄美発着路線就航に合わせて、知られざる奄美群島の魅力を発掘する「観光資源開発」、発掘した魅力をさまざまな手段で伝えて実際に訪れてもらう「来島促進」、そして宿泊やアクティビティ、ショッピングなどを整備して地元の産業活性化に貢献する「経済貢献」を柱として、奄美地域の活性化と経済発展を目指す取り組みを鹿児島県と共同で行なうと説明。その具体例となるのが、奄美群島応援団の発足だ。
奄美群島応援団の最初の取り組みが、Origamiと奄美大島信用金庫が参画し、奄美群島でのキャッシュレス化の推進。奄美大島などでOrigami Payを利用する場合に割引きが受けられるクーポンを配布するなどのキャンペーンを実施する。
観光資源開発については、奄美の知られざる魅力をしっかり掘り起こすことが重要と考え、奄美に訪れる来島客目線で掘り下げ、外部の目を入れることで地元が見落としている魅力を見つめて取り上げていく。
次に、来島促進。新たな魅力を発掘しても、それが伝わらなければ全く意味がないとし、ピーチが持つ様々な発信力を活用していくという。
また、経済貢献については、来島客が奄美に到着し、そこから移動して宿泊し、アクティビティや買い物を楽しむといった全ての部分でのサービスを行き渡らせることで、来島客の利便性を高め、地域の活性化に繋げる。
そのうえで、「これら3つの柱に真剣に取り組むことで、トータルの旅としての奄美群島の楽しみを高め、リピーターを増やし、クチコミで新たな観光客を呼び込むことに繋がる」(ピーチ執行役員の轟木一博氏)という。
旅行者も生活者もキャッシュレスへ
その取り組みのひとつの柱となるのが、今回発表されたOrigamiと奄美大島信用金庫と共同で取り組む、奄美群島でのキャッシュレス化の推進だ。「キャッシュレスでつなぐ、旅の新しい体験」というコンセプトのもと、もっと身軽に、便利に、おトクに旅を楽しめる環境を作っていきたいという。合わせて、この取り組みが国内観光客だけでなく、インバウンド観光客に向けた環境整備にも繋がるとする。
そして、ピーチの奄美線機内で、奄美大島などで利用できるOrigamiクーポンを配布したり、ピーチのWebサイトや機外誌「PEACH LIVE」などでOrigamiクーポン利用方法などをしっかり告知していくという。さらに、Origamiクーポンが利用できる店頭でも別のクーポンを配布するなどして回遊性を高め、奄美群島全体にキャッシュレスの効果を広めていきたいという。
あわせて、奄美群島でのキャッシュレス推進は、旅行者だけのものではなく、地域の方々の日常生活にも浸透させていきたいとする。轟木氏は「地域の方々が日常からキャッシュレス決済を利用することで利便性を高めるとともに、データを活用して新たな取り組みを行ないつつインフラを整え、それを来島客が使わせてもらうのが理想型」であると指摘しつつ、地域の方々にもキャッシュレスサービスに親しんで使ってもらいたいと説明した。
この、奄美群島応援団の取り組みは、7月にピーチと奄美群島との間でワークショップを開催するなど、すでに始まっている。7月のワークショップを通して、地元民からも「ピーチの本気度がわかった」と言われているとのことだが、9月には第2回のワークショップを開催するとともに、さらにパートナー企業も追加するなどして、取り組みを加速していきたいとのことだ。
「奄美に行ったらキャッシュレス」。地域活性化へ
奄美群島応援団に参画する、奄美大島信用金庫の専務理事である伊東寛久氏は、実際の取り組みについて説明した。
伊藤氏によると、「島外の人だけがキャッシュレスを使うのではなく、最終的には、奄美の全ての人がキャッシュレスを使えるようにしたい」という。奄美地方は高齢化が進んでいるそうだが、高齢の方ほどキャッシュレスに向いていると伊藤氏は述べ、地域へのキャッシュレス浸透についても大きな問題はないとの認識を示し、加盟店とともにユーザーを増やしていきたいと説明。また、近年一気にキャッシュレス化が進んだ与論島を例に示しつつ、まずは空港売店、観光地などに導入し、市内の店舗にも広げていくことで推進したいとする。その上で、奄美に降り立ったと同時にキャッシュレスが利用できる、それが実現できることが地元金融機関としての目標であるとし、積極的に取り組んで行く姿勢を示した。
Origamiの桑原智隆 取締役は、「地域が主役の、地域活性化型キャッシュレス」を進めていくと意気込みを表明した。Origamiが目指す地域活性化型キャッシュレスは、単なる決済手段の枠を超えて、地域事業者の生産性向上や地域活性化に繋げていくのが目標であるとして、鹿児島県や奄美大島信用金庫、ピーチなどのパートナーとともに地域の盛り上がりを後押しするという。そのうえで、奄美にある魅力的な人、文化、自然遺産などの資源を活用することで、地域の活性化や、中小規模事業者の売上増や顧客単価増に繋げていきたいとした。
また、桑原氏は「キャッシュレスは目的ではなく手段」であるとし、一過性のブームではなく、奄美群島全体に定着するキャッシュレス社会を創っていきたいとする。それが、売上増や人手不足の解消に繋がるとともに、ATMに行くことなく口座から直接支払いができるというOrigami Payの利便性の高さを活かし、高齢化社会の一助にしたいという。
あわせて、Origami Pay加盟店開拓については、移動、観光地、飲食や買い物といった、観光客が「奄美に行ったらキャッシュレスが進んでいた」と感じられるような場所に重点的に導入するという。加えて、地元の人が普段使いするスーパーや小売店なども重点的に入れていくことで、奄美群島全体の地域活性化とキャッシュレス化を推進。これまでOrigamiが日本各地で取り組んできた教訓やノウハウを結集して取り組んでいく。