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ソニーとヤマハがエンタメ車両「SC-1」。周囲の人に映像表示や遠隔運転
2019年8月21日 14:03
ソニーとヤマハ発動機は、新たな移動体験のためのエンタテインメント用車両「Sociable Cart(ソーシャブルカート) SC-1」を共同開発した。ゴルフ場や各種アミューズメント、施設、商業施設など様々な場において、2019年度内に国内でサービス開始予定。なお、車両としての一般販売は予定していない。
SC-1は、移動をエンタテインメント体験の場に変えることを目標に開発。ヤマハ発動機の自動運転技術とソニーのエンターテインメント映像技術を融合させ、最大5名まで乗車可能。走行速度は0~19km。
特徴は、車両前後左右に搭載しているイメージセンサーにより、360度全ての方向にフォーカスが合った映像で周囲の環境を把握できること。加えて、イメージセンサーの超高感度特性と、内部に設置した高解像度ディスプレイにより、夜間でもヘッドライトなしに周囲を視認できる。また、乗員の運転だけでなく、クラウドを介した映像確認による、遠隔地からの操作による走行に対応する。
イメージセンサーで周囲を捉えていることから窓が不要で、代わりに高精細ディスプレイを外向けに四方に配置。広告や様々な映像を、車両の周囲の人に対して映し出せる。また、イメージセンサーや超音波センサー、LiDARで捉えた車両周囲のデータをAI解析し、最適な運行アシストが行なえるほか、車両周囲の人に、性別・年齢などの属性に基づいた情報(道案内や店舗情報、エンターテイメント情報、配信ニュース、広告など)を表示できる。
SC-1にはソニーの融合現実感(Mixed Reality)技術を搭載。周囲の環境を捉えた映像に、様々なCGを重畳し、車窓をエンタテインメント空間とし、移動自体をより楽しめるようになるとする。
駆動方式はDCモーターで、バッテリはリチウムイオンポリマー電池。車内に49型4K液晶を1台、車外に55型4K液晶を4台搭載する。イメージセンサーは、35mmフルサイズのExmor CMOSセンサー5台(車両周囲4方向+車内)と、1/3.8型CMOSセンサー2台。自動運転方式は電磁誘導。外形寸法は3,135×1,306×1,830mm(全長×全幅×全高)。
ソニーは2016年にSC-1の原理試作機を開発し、2017年にはNew Concept Cart SC-1として試作機を完成。2018年には、カヌチャベイリゾートにおいて、沖縄の夜のゴルフ場で夜間の走行シーンにARで映像や音声を重畳したエンタテインメントコンテンツが楽しめる「Moonlight Cruise」を2018年に期間限定で実施した。
今回のSC-1は、それらのノウハウを元にヤマハ発動機と共同開発し、乗車可能人員を3名から5名に拡張したほか、交換式バッテリーによる稼働時間の延長、搭載イメージセンサー数の増加による車体前後の視認範囲の拡張、車両デザインの刷新、ベース車両の最適化による乗車フィーリングの向上などを実現したという。