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東京2020オリンピックまで1年、安倍首相らが準備体制を強調。メダルも披露
2019年7月25日 12:36
東京2020オリンピック1年前セレモニーが、2019年7月24日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催された。主催は、東京2020組織委員会および東京都、後援は公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)。
東京2020オリンピックの開幕1年を迎える節目の日に、世界中のアスリートに東京2020オリンピックへの参加を呼び掛け、大会関係者と共に来年に迫った大会に向けて決起を行なう狙いで開催した。
会場には、安倍晋三首相や東京都の小池百合子知事、東京2020組織委員会の森喜朗会長のほかは、主要各国のオリンピック大会関係者、自治体や国内競技団体など大会に携わったステークホルダー、東京都内や被災三県(岩手県・宮城県・福島県)の小中高生など、約5,000人が参加した。
午後2時から行なわれたセレモニーのオープニングパフォーマンスでは、パナソニックの特別協力により、同社が開発中の「高速追従プロジェクションマッピングシステム」を活用した演出が披露され、津軽三味線の兄弟奏者である吉田兄弟による演奏と、北京オリンピックの新体操代表である坪井保菜美選手による新体操の動きを交えたダンスパフォーマンスが行なわれた。
パナソニックが開発中の高速追従プロジェクションマッピングシステムは、ランダムに動く対象物の動きや位置情報を高速に検出し、その動きにあわせて画面の描画速度を高めたプロジェクターにより、映像を投影するというもの。対象物の位置の検出から、映像送出までの遅延時間は、従来技術の10分の1以下となる0.0016秒で、業界最高の高速追従を実現。今回のダンスパフォーマンスでも、坪井選手が持つスティックがマーカーとなり、その動きに追随する形で映像を投影し、幻想的で、迫力がある演出に、会場からは大きな拍手が送られた。
東京2020オリンピック1年前セレモニーで、安倍晋三首相は、「6年前に東京招致が決まったブエノスアイレスの地で、大会成功に向けて全力を尽くすことを約束した。この間、組織委員会と東京都の緊密な連携により、準備を進めてきた。メイン会場のオリンピックスタジアムも、2019年11月の完成が予定されている。準備状況については、IOCからも高い評価をいただいている」と準備状況を説明。
「日本は、2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた。世界中から支援をいただきながら一歩一歩復興に向けて前進してきた。これらの支援に対する『ありがとう』のメッセージをお伝えするとともに、未曾有の大災害から復興しつつある東北の姿を世界中に発信したい。大会を通じた人と人の出会いは、オリンピックの大きな意義である。大会を日本全国のみなさんの温かな思いが詰まったものにするためにも、参加する国や地域と、地方自治体とを結ぶホストタウンを設けて、交流を発展させたい。ユニバーサルデザインの推進、多様で魅力的な文化への刷新など、2020年のその先を見据えて歩みを進めていく。スポーツこそが世界をつなぐ。そして、万人に等しい機会を与えることができる。これは、55年前の東京大会から学んだことである。来年の大会は、改めて、このことを世界に示す機会である。アスリートが自分の限界を超えて挑む姿は、私たちに大きな夢と感動を与えるだろう。その舞台は着実に整いつつある。1年後にこの東京で、みなさんとお会いし、オリンピックの感動をともに分かち合うことができることを楽しみにしている」と語った。
また、東京2020組織委員会会長の森喜朗氏は、「この夏は少し寒いぐらいの日が続いているが、この1年前イベントからずっと晴れそうな気がする」を前置きし、「6年前に組織委員会が発足したときには44人でスタートしたが、いまでは300人が参加し、国、経済界、スポーツ界などの関係者とともにオールシャパンで準備を進めてきた。大会1年前に同じ場所で、同じゴールを目指して、一緒に集うことができたことはうれしい」と述べた。
「東京2020オリンピック大会は、オリンピックの歴史においても将来語り継がれるような重要な転換点を担う大会になる。新たなオリンピックは、国際社会のなかでの持続可能性を求めるものになる。金、銀、銅メダルは都市鉱山から出た金属をリサイクルして製作し、各自治体から供出してもらった木材で選手村ビレッジプラザを作り、終了後には解体し、地方自治体に木材を返す。また、聖火トーチは宮城県の仮設住宅のアルミを再利用し、新幹線の車両製造技術を使って製作している。聖火リレーは、121日間をかけて、47都道府県を回ることになる。表彰台にもプラスチックの廃材を利用。この表彰台は、私の個人的な気持ちでは、表彰台に立った選手の母校に寄贈したいと考えている。東京オリンピック・パラリンピックは、国、民族、文化、宗教の違いを超えて、世界がひとつになる舞台である。世界がひとつになり、お互いを尊敬し、理解し、認め合うことを学んだ若者たちが次代の共生社会を支える中心的役割を果たすことを願っている」と語った。
東京都の小池百合子知事は、「開催都市として身が引き締まる思いである」と語り、「大会準備は、総仕上げの段階を迎えている。3つの新たな恒久施設はすでに完成した。残りの会場も順調に建設が進んでいる。先月から、テストイベントの開始、安全の確保、暑さ対策などの具体的な検証に入っている。また、大会時の円滑な輸送の実現、経済活動との両立に向けてテレワーク、時差Biz、交通需要マネジメントの3つを一体的に進め、スマートBizの推進を行なっている。今日(7月24日)はそのコア日である。また、最先端エネルギー設備の導入などにより、サスティナブルなモデルを示したい。さらに安全、高品質な水道水で、アスリート、観客を迎える」とした。
さらに、「東京オリンピックは、復興五輪でもある。被災地の復興なくてして、大会の成功はない。被災地の子供たちを大会に招待することを考えているのに加え、各地でライブサイトを開催し、各県とも連携して復興に歩む被災地の姿を世界に発信したい。来年の本日、幕を開く大会を、力をあわせて成功に導きたい」と語った。
国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は、「みなさま、こんにちは」と日本語で挨拶したあと、英語で語り、「いまから1年後、日本は歴史を作ることになるだろう。2020年の東京オリンピックが開催されると、世界の人たちが日本を注目し、世界人口の半分以上が東京オリンピックを見ることになる。これは日本でホストをしてくれる人たちにとっても、素晴らしく、ユニークな瞬間になる。日本のベストを世界に示すチャンスになる。日本には、豊かな歴史、伝統、最先端を行くイノベーション、おもてなしという文化、スポーツを愛する心がある。そして、準備状況は見事な形で進んでおり、大会開始1年前の時点で、ここまで準備が整っている都市は見たことがない。また、オールジャパンの形でオリンピックを開催するといったまとまりがある。チケットの販売は予想を超えて、多くの人が求めた。ボランティア募集でも20万人以上が応募した。聖火リレーは47都道府県のすべてをまわり、オリンピック精神を伝えていくことになる。卓越したオリンピックを開催するための要素はすべて整っている。206の選手団、IOCが組織する難民オリンピックチームのアスリートたち全員が、素晴らしく、驚くべき体験をすることを期待している。オリンピック大会は世界最大のスポーツイベントというだけでなく、人類が持つ多様性のまとまりや統一を喜ぶ瞬間になる」などとした。
東京2020オリンピック1年前セレモニーでは、IOCから各NOCに対して、東京2020オリンピックの招待状を手渡された。
東京2020オリンピックメダルのデザインも発表。メダルは、全国提供された使用済み携帯電話等の小型家電から抽出した金属を用いて製作。直径は85mm、厚みは7.7mm~12.1mm。
素材は、金が純銀に6g以上の金メッキ、銀は純銀、銅は丹銅(銅95:亜鉛5)。本体重量は、金が約556g、銀が約550g、銅が約450g。
また、柔道金メダリストの野村忠宏氏やアテネ、北京、ロンドンのパラリンピック3大会に女子射撃選手として連続出場した田口亜希さん、女優の石原さとみさん、お笑い芸人のサンドウィッチマンなどの東京2020聖火リレー公式アンバサダーによって、東京2020オリンピック聖火ランナーの募集PRや、東京スカパラダイスオーケストラと吉田兄弟によるスペシャルライブが行なわれた。