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アドビ、Photoshopで加工した顔写真を検知する研究。正答率99%
2019年6月19日 20:35
アドビは、Photoshopで加工された顔写真を検知し、加工前の状態に復元するツールを開発した。アドビリサーチとカリフォルニア大学バークレー校の共同研究で“フェイクコンテンツ”の検出とデジタルコンテンツの“真正性”の確保を狙いとしている。
これまでのアドビの研究では、「接合」「複製移動」「除去」による画像改変に焦点を当てていたが、今回の技術は、Photoshopの「顔立ちを調整」フィルターに着目。同ツールは、表情の調整など、顔立ちの改変によく利用されているため、この加工画像領域を検出する技術を開発した。
「顔立ちを調整」は、微細な調整も可能なため、人物の顔の劇的な改変と同様に微妙な改変も検出できるかの研究に適しているという。研究では、以下の課題を検証した。
(1)加工された顔画像を、人間よりも確実に判別できるツールを作れるか
(2)そのツールは、画像に加えられた改変を解読できるか
(3)できたとして、それらの改変をもとの状態に復元できるか
研究では、深層学習の一形態である畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を訓練し、加工された顔画像を認識。インターネットから取得した数千の顔画像にPhotoshopの自動化スクリプトで「顔立ちを調整」による改変を加え、広範囲なケースをカバーする画像データとして用意。一部ランダム選択し、訓練データとして利用した。このデータセットには、アーティストによって手作業で修正された画像も追加。これは、人手による修正の方法論やテクニックも、テスト用データセットでカバーするためという。
被験者には、オリジナルと改変版の画像ペアを提示。人間の目による判定の正答率は、53%だったという。一方、実験を重ねるにつれ、ニューラルネットワークツールの正答率は99%となったという。
ツールでは、顔画像の改変がなされた領域と、そこに適用されたゆがみ効果の内容も特定できる。さらに、改変された画像から逆算し、オリジナルの状態に戻す実験の結果は、「研究者自身でさえも感動するものだった」とする。
カリフォルニア大学バークレー校のアレクセイ A エフロス教授は、「人物の顔の幾何学的構成にはあまりに多くのバリエーションがあり、そのような解析は不可能であるように思える。しかし、このケースにおいては、深層学習プロセスが、ゆがみ効果の痕跡のような低次レベルの画像データと、顔の要素のレイアウトといった高次レベルのヒントの両方を取り扱うため、うまくいくようだ」と説明。アドビの研究者リチャード ツァン氏は、「画像編集を魔法のようにもとに戻せる汎用的な『取り消し』ボタンは、まだ実現にはほど遠い。しかし、私たちは消費するデジタル情報をそのまま信じることがより困難になっている世界に住んでおり、この領域の研究をさらに探求していく」としている。