ニュース
Kyashが決済プラットフォームを開放。Kyash Directで「経済圏をつなぐ」
2019年4月26日 11:23
ウォレット・送金アプリを展開するKyashが、法人向けの決済プラットフォーム「Kyash Direct」を開始し、BtoB向けのプラットフォーム展開を図る。
ウォレットアプリのKyashでは、Visaブランドのカード発行や決済業務に関わる一連のプロセスに対応し、“ほぼ”クレジットカードのように使える仕組みを実現している。そのための一連の機能を他社に開放し、BtoB決済プラットフォームとしてKyash Directを展開する。
通常、企業が自社ブランドでVisaカードを発行する場合、Visa発行ライセンスを保有する銀行やカード会社と提携し、Visa加盟店との決済処理を担うシステムベンダーとの契約も必要。そのため、サービス提供までには年単位の時間と高額な初期費用が必要となる。
Kyash Directは、カード発行から決済処理などのプロセシング業務までの一連のプロセスを、モダンなAPIを通じ、ワンストップで迅速・低コストで企業に提供できる。
Kyash Directの導入企業は、自社ブランドのバーチャルVisaカードを即座に発行可能となる(リアルカード発行にも対応)。
また、銀行預金や売上金などの企業が保有する様々な金融資産とAPI連携し、国内外のVisa加盟店で決済できる。API連携した金融資産は、Visaカード利用時に即時充当し、決済に使える。例えば、仮想通貨(暗号資産)を即座に日本円に転換し、Visaカードの支払いに用いるといったサービスも提供可能になるという。
また、バーチャルVisaカードだけでなく、QUICPayによるコンビニやスーパーでの非接触決済が行なえる。
導入企業がKyash Directを使うことで、自社が持つ金融資産をウォレットで管理し、国内外5,390万のVisa加盟店で決済可能になる。どのようなサービスを構築するかは、導入企業次第。
すでにKyash Directは複数の企業が導入しており、「初夏」にはKyash Direct導入サービスがスタート予定という。Kyashが利用事例として想定しているのは以下の通り。
- クラウド費用やオンライン広告費など多額のカード決済を行なうスタートアップ企業向け法人カード
- 企業の従業員に対してカード毎の利用制限などを設けた柔軟な設計が可能な法人カード
- 仮想通貨やポイントの保有者が、日本円へ転換後にVisa加盟店で利用可能なカード
- サービス内の売上金や報酬を即時にVisa加盟店で決済できるバーチャルVisaカード
Kyash Directの実現のためにVisaとのパートナーシップを強化し、VisaのFintechファストトラックプログラムの契約を締結。日本におけるVisaプリペイドカード発行ライセンスを取得した。
これまでKyashは、国内カード会社との提携を通じてVisaカードを発行していたが、このライセンス取得に伴い自社単独でのカード発行が可能になった。
なお、バーチャルカードではQUICPayの非接触決済に対応するが、リアルカードはVisaのPaywave(Visaのタッチ決済)となる。また、将来的にはKyash Directにおいて、本人確認(KYC)の代行サービスなども検討していく。
経済圏をシームレスにつなぐ
Kyashの鷹取真一社長は、カード発行などのイシュイング、国内外のVisaカード加盟店からの決済処理を司るプロセシング、エンドユーザー側のアプリなど、上流から下流までを一貫して提供できる、とKyash Directを紹介。API経由のホワイトラベル提供、リアルタイムデビット決済、様々なファンディングソース(金融資産)と連携可能といった特徴をアピールした。
ウォレットアプリも継続し、BtoCのKyashアプリと、BtoBのKyash Directを並行して提供。ビジネスモデルは、決済が行なわれた店舗から、イシュアーとして徴収する決済手数料が中心となる。
椎野孝弘CTOは、「仮想通貨やポイント、売上金など、これまで『特定の場所』でしか使えなかったファンディングソースが、Kyash Directにより世界中のVisa加盟店で利用できる」と説明。資産からのチャージだけでなく、銀行からの即時入金・支払いなどにも対応し、「あたかもデビットカードやクレジットカードのように振る舞える」という。
これは決済時にKyashのAPIと連携する資産から即時に充当されて決済するKyash独自の「ダイレクトファンディング」により実現。椎野氏はこの機能が「Kyash Directのポイント」と語り、「いろいろな“経済圏”が世の中にあるが、それらをシームレスにつないでいきたい」と語った。