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メルペイ、コード決済に3月対応。買うから売るまで全展開し、信用を創造
2019年2月20日 13:28
メルカリのスマホ決済サービス「メルペイ」は20日、今後の事業構想や拡張計画を発表する「MERPAY CONFERENCE 2019」を開催した。3月中旬にQR/バーコード決済に対応し、加盟店を約135万カ所まで増やすほか、2月末から3月にかけてAndroidに対応。メルカリと連携してメルペイを強化していく。
iDに加え、コード決済対応
メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」で培った技術力と顧客・情報基盤をもとにした、スマホ決済サービス。2月13日からiOS先行でスタートし、第1弾として三井住友カードやNTTドコモが推進する非接触決済サービス「iD」に対応した。メルカリ上での取引を通じて保有している売上金を、メルカリ内での商品購入だけでなく、コンビニエンスストアやレストラン、ドラッグストア、ファーストフード店をはじめ、全国約90万カ所の「iD」加盟店で利用できる。
2月末から3月初旬には、Androidでもメルペイの「iD」による非接触型決済に対応。ドコモ、au、ソフトバンクら3キャリア以外のMVNOによるAndroidスマホも対応可能となる。
3月下旬にはコード決済に対応。iD対応店舗以外でも利用可能とする。ユーザーが提示したバーコードを加盟店が読み取る方式からスタートし、店舗が提示したコードをメルカリアプリ内のバーコードリーダーでスキャンする方式にも後日対応予定。
メルペイの青柳直樹 代表取締役は、「全国に行き渡らせるためには、iDの非接触だけでは足りない。一方で、コードだけでは普及に時間がかかる」と語り、iDとコード決済の両方に対応する方針を説明。コード決済対応で、加盟店は135万(iDが90万店舗、コードが45万店舗)まで拡大。年内に200万件をめざす。
コンビニやドラッグストアなどの、iD加盟店のほか、コード決済対応の松屋や吉野家などにも対応予定。また、コード決済対応により、決済端末を保有していない小規模店舗(SMB)などでの導入を拡大していく。
銀行との口座連携も強化。すでに30行以上と連携しているが、今後60行との口座連携を予定しており、メルカリを使っていない、売上金を保有していない人でも、メルペイを利用可能とする。今後対応予定の銀行は、ジャパンネット銀行やじぶん銀行、横浜銀行など。
発表会には、セブン-イレブン・ジャパンの石橋 誠一郎社長も登壇。すでにiD経由でセブンでの支払いが可能となるほか、今夏も開始予定の「セブンペイ」での連携も検討する方針を示した。
「メルペイで買ってメルカリで売る」を実現。JCBやauと協力
さらに、オンラインのECなど「ネット決済」にも対応する予定。「ネットショップでもメルカリを実現すべく、開発を進めている」という。将来は、「メルペイ購入した商品が不要になったら、購入履歴をもとにワンタップでメルカリに出品できる」といった利用を想定。「売ることを前提に買う」に向けた、開発を進めるという。
また、メルカリでの中古販売実績や価格データなどの2次流通データを、商品開発支援や販促支援などに活かすことも想定。加盟店向けのビジネスメリット提案として、検討していく。
JCBとも提携。コード決済においてJCBが提案する「Smart Code」に対応し、コード決済の加盟店開拓などでも協力する。なおJCBと共同で開拓する店舗もあるが、メルペイ独自の開拓も行なう。
なお、メルペイのコード決済は、3月中旬スタートたが、JCBのSmart Codeは春以降のスタート予定。
さらに、KDDIのau PAYとも連携。主に中小店舗の加盟店開拓で連携するなど、オープン戦略でキャッシュレス化を推進するという。
メルペイによる信用の創造。信用スコア展開も
メルペイの今後の展開について、青柳代表は、「信用を創造して、なめらかな社会を作る」という同社のミッションに言及し、メルカリとメルペイの取引や購買データを用いた、「信用データ」の活用について説明した。
現在、メルカリで展開している「メルカリ月イチ払い」は、今月の購入分を翌月にまとめて支払いできるサービス。これを「メルペイあと払い」に今春をめどに名称変更し、メルカリ以外の店舗での決済に利用可能とする。
「メルペイあと払い」は、手元にお金が無くても、メルカリの利用実績を元に、店舗での商品購入代金を後払いできるというもの。メルカリ利用実績から信用スコアを展開し、メルペイ決済を皮切りに新たなエコシステムの構築を目指す。
メルペイが「使える決済」となる理由。決済から新たなエコシステムへ
メルペイの青柳氏は、「モノとお金の流動性のイノベーション」とメルペイを表現。「使える決済、使われる決済であることが必要」と語る。
「使える決済」である理由は、1,200万人超の顧客基盤を持つメルカリの売上金がすぐに使えること、iDの連携により90万以上の店で使えること、さらにメルカリアプリ上で使えることの3点を紹介。UX/UIも含めて、「ほかにはない強み」と強調した。
メルペイ執行役員の山本真人氏は、ユーザー数が多いだけでなく、「メルカリの売上金」という「お金を持っているユーザー」であるという点を強調。さらに、日々の給料や経費と切り離された消費しやすいお金であるということも、メルペイならではの特徴と語る。
この売上金と、メルカリ内のユーザーデータを、加盟店なども一部活用可能にすることで、「使われる決済」を実現できると語る。
加盟店向けには、初期導入費・固定費はゼロ円、決済手数料1.5%と、導入コストの安さを紹介。クレジットカードなどより安価で、長く使えることを訴求していく。
メルカリ代表取締役会長兼CEOの山田進太郎氏は、「お金の流通性にイノベーション。新たなエコシステムを作る」と述べ、アパレル、飲食などでのメルカリ売上金の活用など、様々な領域で顧客接点を探ることを紹介。「経済圏で囲い込むのではなく、オープンなエコシステムをお客様と加盟店と作り上げていきたい」とした。
また、これまでのフリマアプリによる「2次流通」だけでなく、メーカーの商品開発にもメルカリのデータを活かす「1次流通」への活用などのプランを紹介し、「これまでのユーザー(消費者)だけでなく、企業もエンパワメントしていく」と説明。メルペイと連携させながら、メルカリを育てていくと強調した。