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ロボットが会話代行する婚活パーティーでカップル成立。サイバーエージェント

サイバーエージェントの人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」は、2月9日に開催された“ロボットが会話を代行する婚活パーティーin竹芝”で取り組んだ研究テーマ「ロボット等を含む、対話エージェントに対する信頼感の醸成」について調査結果を発表した。4組のマッチングに成功し、プロフィール情報を反映した適切な会話代行は、ロボット等対話エージェントに対する信頼の醸成へつながることが確認された。

今回の婚活パーティーは、東京都竹芝地区の「コンテンツ×デジタル」産業の拠点を形成する活動母体、CiP協議会との共同イベントとして開催。一般的な婚活イベントや出会いの機会に必要な初対面での会話を人型ロボットが代行し、「緊張して上手くアピールできない」などの個人に依存するコミュニケーション課題をサポート。心理的負担が少なく円滑な対話ができることが期待された。

ロボットが会話を代行することで、自分からは直接言いにくいアピールポイントや、聞きづらい相手への質問なども可能となり、相手についてより詳しく知ることができるとしている。

婚活パーティーは「ロボットの会話代行のみ」の1部、「ロボットの会話代行の後、参加者同士も会話をする」の2部で実施。参加者は1部2部ともに男女8人ずつの計32人。事前アンケートから作成されたロボット同士の会話を聞き、2部の参加者はその後5分間対話をする形をとった。

イベント当日の様子

結果4組がマッチング成立(1部、2部から2組ずつ) 。人間が、対話を代行したロボットを信頼して、自身の選択や意思決定に影響を与えたと考えられる。

イベント後のアンケート調査で「自分のロボットは信頼できたか?」には7.14pt、「自分のロボットの発言に安心感はあったか?」には6.93ptと、自分の分身となり会話代弁したロボットへの信頼感が生まれていることがわかった。

インタビューでは「自分のプロフィールやアピールポイントを正しく相手に伝えてくれたことに信頼ができた」と答える参加者が多く見られ、参加者が思ったことを自分のロボットがそのまま回答したり相槌をすると、自分のロボットへの愛着と信頼感が増すという意見もみられたという。

また、「相手のロボットの発言は信用できたか?」には7.36pt。相手のロボットの情報にも関わらず高い信頼が得られた。これは、自分のロボットへの信頼感から相手のロボットも同様の信頼を持ち、ロボット同士の対話に対する信頼感の醸成に繋がっていると考えられる。

一方で、信頼できないと回答した参加者は「ロボットが話した自分の情報が少し古かったので、ロボットに対して信頼することができなかった」と回答。それらから、ロボットがプロフィールや事実を自身が納得できる内容で話すことが、ロボットへの信頼感を醸成した要素として考えられ、人間の「意思決定」にロボット同士の対話が影響したことが確認できたとしている。

さらに、マッチング相手を選ぶ際に影響した要素を「ロボット同士の会話内容」と「外見の印象」の2軸で調査。いずれにおいても「ロボット同士の会話内容」がマッチング相手を選ぶ際に影響度が高いという結果となった。

インタビューでは「普段は好みのタイプではない相手の方の場合、話をあまり聞いていないが、今回はロボットによる会話代行だったためしっかり内容を聞くことができた。共通点を話してくれたので相手に興味を持った」と、ロボット同士の会話ゆえに相手に興味を持つ事例があった。

これは、ロボット同士の会話を聞くことで、普段であれば素通りする情報も得られたことが起因したと考えられる。外見の印象以上に人の選択に影響を与え、相手を選ぶ際に重要な要素であったことが確認された。

また、「初対面の会話において、ロボットが先に対話してくれることにより実際の会話は気楽に行えましたか?」には8.25ptという結果が得られ、人間同士の会話のロボットによる代行は、個人に依存するコミュニケーション課題をサポートし、初対面時の心理的負荷を軽減できる可能性があるとしている。

サイバーエージェントは今後、自然な会話を自動生成する技術や、最適な相槌パターンや返答を行なう会話の選択アルゴリズムの開発といったAI技術を組合わせて活用することで、より高い「対話エージェントへの信頼感の醸成」を目指せるとしている。