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三菱地所の大手町ビルに、無人でエレベーターに乗る自動運転モビリティ

三菱地所とSAPジャパンは、社会課題を解決する新規ビジネスの創出を目的としたオープンイノベーションのためのコラボラティブスペース「Inspired.Lab」を、東京都千代田区の大手町ビルにオープンした。

WHILL自動運転システム

Inspired.Labは、社会に大きなインパクトを与え、将来の産業構造を変革していく可能性を秘めた最先端の科学技術や研究成果をベースとするテクノロジーが集積し、企業の協創が生まれる拠点を目指す。

エントランス

三菱地所とSAPジャパンが協業して、ファシリティの運営およびプログラムを提供。生み出したアイデアは、工房でカタチにし、プロトタイプを作成。顧客やユーザーにテストを行ないながら試行錯誤することで新たな製品やサービスの開発につなげるとしている。

ラウンジ

このフローにおけるメリットとして、今まで自社の関連施設や工場で行なわれることの多かった実証実験を、オフィス空間を利用して、アイデアが生まれたその場で行なえることが挙げられている。また、将来的には丸の内仲通りを中心に丸の内エリア全体を実証実験の場として利用可能となるという。

ホットデスクエリア

第1弾として、WHILLと三菱電機による「パーソナルモビリティ自動運転システム」、パナソニックとLiquidによる「無人販売ショーケース」の実証実験がスタート。

WHILLは、今回の実証実験において、自動運転機能を持つ「WHILL自動運転システム」を用いた、パーソナルモビリティと建物のIoTによる連携を行なう。具体的には、三菱電機と連携し、建物内のエレベーターとWHILLが通信回線でつながることにより、WHILLが近づくとエレベーターがWHILLのいる階に停止し、扉の開閉を行ない、目的の階までWHILLを送り届けるという。

WHILL自動運転システム(左)と連携イメージ図(右)

これにより、これまでのシステムでは同一の階でしかできなかった自動走行が、異なる階を跨いで可能になり、自動走行で建物内のあらゆる場所に行くことが可能。さらに、特定の場所にWHILLが利用者を迎えに行く、目的地まで到着した後、乗り捨てたWHILLが自動で待機場所に戻っていくといった運用も可能となる。

WHILLは、障害の有無や年齢に関わらず、だれもが安全に乗れる一人乗りのモビリティの提供によって、既存の交通機関を降りてから目的地までの「ラストワンマイル」の移動の最適化を目指す。

WHILL自動運転システム 大手町ビルでの実証実験デモ

パナソニックは、生体認証とRFIDを活用した無人販売ショーケースの実証実験を実施。既存の冷蔵ショーケース製品と無線識別技術を活用し、Liquidのコア技術である「生体情報のインデックス化」と「深層学習による高速検索」とを組み合わせることで、利便性の高い手ぶら決済を低コストで実現するという。

具体的には、Liquidのドア設置専用の生体認証(指紋)スキャナーでショーケースの鍵を開け、欲しい商品を手に取るとパナソニックのRFIDアンテナが感知。ショーケースから商品がなくなるまで高精度に追跡し、購入したと判断すると自動で決済を行なう仕組みになっている。

概要と技術

将来的には、商品補充支援や賞味期限の近い商品のダイナミックプライシングといった、RFIDのリアルタイム在庫情報から商品の需要を高精度・高頻度に予測し、利益が最大化するような供給スケジュールを端末に自動提示する機能を開発予定。

三菱地所とSAPジャパンはInspired.Labにおいて、企業の枠を超えた場を提供。大企業とスタートアップのコラボレーションを生み出し、より変革が加速していくエコシステムの構築を目指す。