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ソニー、植物由来の新炭素材料「トリポーラス」のライセンスを開始
2019年1月29日 15:50
ソニーは、植物由来多孔質炭素材料「Triporous(トリポーラス)」のライセンスを1月より開始する。水や空気に含まれる汚染物質を除去する環境浄化フィルターや、防臭・消臭・除菌効果を活かせるトイレタリーなどでの採用を想定しているという。
トリポーラスは、シリカを含む籾殻など余剰バイオマス(再生可能な生物由来の有機性資源)を原料とする、独特の微細構造の多孔質炭素材料。既存の活性炭のマイクロ孔(2nm以下)に加え、マイクロ孔よりも大きなメソ孔(2~50nm)とマクロ孔(約1μm)が多数複合して存在するため、水質汚染の原因となるフミン質やアオコ毒といった有機分子や、アレルゲン、酵素などの小さなタンパク質やウイルスなど、従来技術では吸着しにくかった分子量の大きな物質を容易に吸着できる特性を持つ。加えて、有機塩化物や農薬などの低分子化合物の高速吸着も可能という。
こうした特性により、環境浄化フィルターやトイレタリー、化粧品や薬剤、衣類・布製品など様々な製品での展開を想定。ライセンスを開始し、自社製品への活用や工場等自社内活用を検討する企業や協業を検討する企業などを募集する。
トリポーラスは、ソニーのリチウムイオン二次電池開発の過程で、特殊な構造を持った炭素材料として発明。特定の物質に対し、活性炭より高い吸着量や速い吸着速度を持つことを見出し、基礎から応用に至るまで特許を取得してきたという。
また、トリポーラスの原料となる籾殻は、日本だけで年間約200万トン、世界中では年間約1億トン以上も排出されている。「余剰バイオマスというサステイナブルな素材を活用するため、環境に配慮した循環型社会への実現にも貢献する」という。